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Guest 北海道を訪れた今を輝くゲストのスペシャルインタビュー


lynch.


名古屋を拠点としてインディーズの最前線に長きに渡り君臨し続け、昨年6月にリリースされた1stアルバム『I BELIEVE IN ME』で遂に待望のメジャー進出を果たしたロックバンド“lynch.”。今年6月には通算6枚目となるメジャー移籍2ndアルバム『INFERIORITY COMPLEX』をリリースし、さらに7月からは全国27ヶ所28公演をまわるツアーがスタート!“劣等感”をタイトルに掲げられた今作は、さらに速く、激しく、そしてメロディアスに、大きな可能性を秘めたバンドの魅力が鮮明に研ぎ澄まされた、今後の方向性を占う重要な作品となっている。





インタビュー(July,2012)
葉月 / “lynch.”(Vo)


>まずは北海道の印象から聞かせてください。

女の子が話す方言が可愛いですね。「なんとかさ」っていう、あれ良いですよね(笑)。北海道には親切にしてくださる方が多くて、いつもあたたかく迎えていただいています。初めて来たのは、結成してまだ1~2年くらいの頃だと思うので、もう5~6年前になりますね。最近は飛行機で来ることが多いんですけど、昔は名古屋を拠点に活動していたこともあって、フェリーで36時間かけて移動していたんですよ。今は1時間ちょっとで来れてしまうので、なんとなく少し寂しい気もします。

>どこか立ち寄られたりされましたか?
お寿司はまだ回転寿司でしか行けていないんですけど、それでもやっぱり東京とは全然違いますね。『狼スープ』というラーメン屋さんが好きで、しばらくお休みされていたようなんですけど、最近また再開されたと聞いたので今日も早速行ってきました。札幌へ初めて来た時に、宿泊しているホテルの目の前にラーメン屋があったのでたまたま入ってみたら、僕の中では一番美味しくて、それ以来数年間まだ塗り替えられていないですね。

>通算6枚目、メジャー移籍2ndアルバム『INFERIORITY COMPLEX』がリリースされましたが、作品を通じてのコンセプトはありましたか?
もともと“lynch.”は幅広い音楽性を持っていたんですけど、あえてそれを意図的に絞り込んでみようと、“速くて”、“激しくて”、“メロディアス”であるという3点に絞って作ろうというコンセプトはありました。

>今作では“lynch.”というバンドの個性がより強調されているのでしょうか?
そうですね。激しいのとメロディアスであることは、もともとバンド結成当初から決めていたんですけど、速いというのは最近の僕の中の旬だったり、時代の流れを捉えながら突き詰めていった感じですね。前作でも激しかったんですけど、作り終えた時に「まだいける」と感じて今作でのチャレンジに至りました。次はどうしようかと今から悩んでいますけど…(笑)。でも、いつも作品が完成した瞬間から次の作品のことは考えますし、発売されてから聴くとまた違うんですよね。今回に限らずなんですけど、ファンの子達を含めいろんな方々からの感想や意見をいただいてから聴くと、また違った意味を感じます。すごく客観的になれるというか、そうかもしれないと気がつけることがあるんです。例えば、今作の4曲目に収録されている「NEW PSYCHO PARALYZE」は僕の中で“lynch.”の本筋ではなくて、ちょっと外れた遊び的な楽曲なんですけど、ファンの子達には人気が高くてすごく喜んでもらえるんですよ。

>タイトルに冠されている『INFERIORITY COMPLEX』の由来を聞かせてください。
最後の最後、ギリギリで決まったんですけど、もともとは曲のタイトルです。なかなか決まらない中で今ある言葉の中から選ぶ流れになり、全ての歌詞に対して意味的に最大公約数になるのが、“INFERIORITY COMPLEX”という“劣等感”を表す言葉だったんですよね。あとは、単純に見た目と響きが気に入ったので選びました。

>全体を通じて歌詞の世界観は決して明るくはありません。
作り込んだ世界ではなくて、僕自身の内面から表現されているので、暗い人間だからなのかもしれないですね…(笑)。明るい話題を歌詞にしても、“lynch.”の曲に合わないというのもあって、「今日喰った飯、マジ美味かったです」みたいな歌を歌われても多分困ると思うんですよ(笑)。歌詞にする大前提は自分の中から出てくるものとはいえ、きちんと選んでいます。別に闇の人間というわけではないですけど…(笑)。勉強のために資料を買うとか、そういうことはしないですね。全くアンテナを張ってないわけではないし、気になるものは自然と引っかかってくると思うので、特に探したりすることもないですね。世間のニュースに対して怒りを覚えてどうにかしたいとか、そういうのもあまりなくて、むしろニュースを観ていても大変だなと他人事に感じてしまうので、結局自分がどう生きていくのか、どうしていくのかとかをひたすら歌詞に起こしているだけなんですよね。それをファンの子がどう感じてくれるのかは自由ですし、自分なりに捉えてもらえればそれで良いです。歌詞に関してはあまり説明をしたくなくて、聴き手に委ねたいんですよね。

>全体を通して聴くと、最後の最後には希望のような明るさが残されているように感じられます。
それは意図したところではなくて、前半にぱっと聴いて激しい楽曲を固めたかったんですよね。聴いていて進んでいくうちに、今作はこういうアルバムなんだと感じてもらいたかったんです。前半で歌ものを入れるとイメージが散漫になってしまう気がしたので、結果的に後半に歌ものが固まっただけなんです。“lynch.”の作品では前半を重要視する傾向はあるかもしれないですね。

>今後の“lynch.”の方向性を示す作品なのでしょうか。
スピードに関してはやりきった感がありますね。これ以上速くなってもノリにくくなっていくだけなので、そろそろ違う方面に足を踏み入れたいなと模索しているところです。“lynch.”はこれしかダメと縛り付けるバンドではなくて、いろんな行先があるんですよね。今すでに、次回作の楽曲も作ったりしているんですけど、果たしてどんな方向性に進んでいこうか、自分で作っておきながら自分で見極めている感じですね。

>長いインディーズ期間を経てメジャーへと活動の場を移されましたが、環境の違いをどのように捉えられていますか?
サイクルが早いので、最初はそこに追いつくのに必死でした。インディーズの頃は事務所にも入らず、自分達で判断していたこともあって、作品も出したい時に出していたんですよ。アルバムを何月に作ろうと考えていたけど、曲がまだ出来てないのでシングルにしましょうくらいのスタンスだったんです…今だったら絶対にありえないですけど(笑)。良い曲が出来たらリリースするくらいのスタンスだったので、メジャーのサイクルについていくのは大変でしたね…というか、ようやくちょっと慣れてきて、「そろそろ怒られるかな?」くらいの予測はできるくらい鍛えられました(笑)。大変ですけど、名古屋に住んでのサイクルの中で続けていると、どうしても怠けてしまうので。

>メジャーへ移る際の決意は大きかったのでは?
それが僕自身はそんなになくて、正直ここまでちゃんとやってもらえるとは考えていなかったんですよ。友達でメジャーへ移るバンドはたくさんいたんですけど、「全然手をかけてもらえない」という話をまわりから聞いていたこともあって、初めは「だったらインディーズでもいいんですけど?」くらいの踏ん反り返った感じでいたんですよ(笑)。お話を聞くとすごく良い条件で、悪いことがなかったので、「じゃあ、やります。」くらいな感じで。「やった!デビューだ!」という感慨も無かったですし、ちょっと体制が変わる程度かなくらいだったんですけど、いざ始まってみたらえらい持ち上げられようだったので、もうちょっと決意しとけば良かったなと後から思いました…(笑)。

>御自身での変化はありましたか?
変わったと思います。東京のメジャーでの当たり前のサイクルにはまだ付いていけていませんけど、デビュー当時に比べたらだいぶマシになったんじゃないかと思います。

>ヴィジュアル系というジャンルについてはどのように捉えられていますか。
僕らとしては何にも自覚がないんですよね。ヴィジュアル系の旗を掲げているとか、僕らは何系ですと括ることも一切無いですし、聴いてもらった人が好きに決めてくれれば良いと思っています。最近は僕らもすっぴんで、普段は無精髭を生やして、Tシャツとジーパンでライブをやることもあるんですよね。活動してきた場所としてヴィジュアル系と括られるシーンの中でやってきたので、そこでヴィジュアル系ですよねっていわれたらそうかもしれないですけど、音楽や見た目で言われるとわからないですね。

>バンドとして常に変化しているようにも感じます。
基本的に飽きっぽいんですよね…(笑)。それをずっと気に入ってれば、いつまでもやり続けるんですけど、すぐに違うことをやりたくなってしまうんです。

>“lynch.”はやはりライブも大きな魅力のひとつです。
目的としてはそれが一番ですから。楽しい時もあれば、辛い時もありますけど、基本的には楽しいですね。未だに解明できていないことも多いんですよ。例えば、リハの時だと楽勝で歌えるのに、本番では圧倒的にリハよりもキツかったり。逆にリハでできなかったことが本番でできることもありますし、何かあるんでしょうね。正直、自分でもコントロールできない部分があるんですよ。声がどんどん枯れていく日もあれば、どんどん出るようになっていく日もあるし、10年以上やっていますけど全然わからないですね。だから面白いんでしょうね。

>ライブで一番大切にされてることはなんですか?
昔からですけど、MCや曲中に煽ったりするのを決め台詞化したくないと思っていて、なんとなくこう言えば間違いないという台詞ってあるんですけど、その時のノリを見ながら正直に思ったことを、リアルな言葉として投げるとリアルな反応が返ってくるんです。エンターテイメント的な部分もあって良いとは思うんですけど、全然駄目だったら駄目って言うし、正直に伝えて盛り上がれた方が良いので、その時に感じたことを正直に言うことは大切にしています。


メジャー2ndアルバム『INFERIORITY COMPLEX』
KICS-1770 / ¥3,000(tax in)


lynch.
2004年結成。メンバーは葉月(Vo)、玲央(G)、悠介(G)、明徳(B)、晁直(Dr)。インディーズシーンでシングル9枚、アルバム4枚をリリース。2010年9月にラスト・インディーズ・シングル『JUDGEMENT』をリリース後、ラスト・インディーズ・ツアーを敢行。同ツアーの最終公演をもって、サポート・ベーシスト=明徳の正式加入を発表。2011年6月、1stアルバム『I BELIEVE IN ME』にてメジャーデビュー。2012年6月、メジャー移籍2ndアルバム『INFERIORITY COMPLEX』をリリース。
オフィシャルサイト  http://lynch.jp



text Pilot Publishing / photograph Syouta Tanaka
July,2012



RSS Comments 5 Tweet

  1. Comment by maki-hi (@maki_baby) 2012年8月25日 @ 12:50 PM

    lynch.|Pilot web http://t.co/Ot3wFsAc @pilot_tweetさんから  北海道の印象「女の子が話す方言が可愛いですね」(笑)


  2. Comment by Regina Ayunda Dhita (@Eii_chan) 2012年8月25日 @ 4:23 PM

    Ini apaan artinyaa???? http://t.co/QDZM1AnU gak bisa bacanyaaa щ(゚Д゚щ)


  3. Comment by minaki (@backmen_eva) 2012年8月26日 @ 10:38 PM

    葉月インタビュー。 http://t.co/ez7vQvFl


  4. Comment by 理奈☆ (@RQ_UNTIL_I_DIE) 2012年8月27日 @ 6:14 PM

    また札幌行きたいなぁ…。http://t.co/aE6XWjVF via @pilot_tweet


  5. Comment by ベノ (@venom_7) 2012年9月9日 @ 1:27 AM

    lynch.|Pilot web http://t.co/usrtAD9X @pilot_tweetさんから



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