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Guest 北海道を訪れた今を輝くゲストのスペシャルインタビュー


ミュージシャン【中納 良恵】


歳月が流れ、さらに輝きを増していく
豊かな人生を重ね、幾多の経験を経て辿り着いた、
ひとりの表現者としての境地。





インタビュー(November,2014)
中納 良恵


>来年1月に2ndソロアルバム『窓景』がリリースされますが、ソロとしては前作から約7年ぶりとなります。

そんなに年月が経っていた気が全然していないんですけど(笑)。今年は5月に〈EGO-WRAPPIN’〉でもシングルをリリースしましたし、森(雅樹)くんも前半はドラマのサントラを手掛けていたので、私もその間にやれることをやろうということで、ソロに取り組める時間を作れたのもタイミングとして大きかったですね。これまでソロでのライブも年1回やるかやらないかだったんですけど、その時々で少しずつ書きためていたのと、今回アルバムにまとめようということで新しく作った曲もあります。

>コンセプトやテーマなども特に設けていない?
〈EGO-WRAPPIN’〉もそうなんですけど、いつもまったく決めていないんですよ。出てきたことに対して、常に状況を変えていきますから。

>ソロでの活動は、個人として表現したいものがあるからなのでしょうか?
コラボレーションで他の方から誘われた楽曲はその人のもので、自分の完全なる作品ではないですし、〈EGO-WRAPPIN’〉は森くんがロックンロールですから(笑)。私はもともとフォークとかゴシックなものが好きなので、普段聴いているものと自分のやりたいものとを近づけたかったりしました。あとは、共同作業と個人作業での違いで、ひとりでの表現としてピアノとどこまでやれるか挑戦でした。

>今作はピアノが大きな役割を担っています。
〈EGO-WRAPPIN’〉でもピアノの曲を作ったりして、ピアノが面白くなってきたのはあります。去年リリースしたアルバム『steal a person’s heart』のツアーでもピアノを演奏したんですけど、それが楽しかったんですよね。もっとちゃんと向き合いたいと思いました。なんとなく、今だったんですよね。

>作品として良いものを目指されている?それとも、ご自身が表現したいものを追求されているのでしょうか?
両方ですね。ただ最初は自分の表現したいものを作ります。それは〈EGO-WRAPPIN’〉でも同じです。良いものを作りたいというのは、それはみんなそう思って作っていると思うんですよ。他の人にとって何が良いものなのかは全然わからないですけど、結果聴く人にとって良いアルバムになればいいなと思います。

>曲は作ろうと思って作られているのでしょうか?
作ろうと思って作ってます。ピアノに向かって、何も考えずに弾きながらポロポロっとリフが浮かんだりとかはありますけど、そんなぱっと浮かんでくるようなタイプじゃないですね。気持ちの準備もすごく必要です(笑)。今は東京で暮らしているんですけど、たまに大阪の実家に帰ったりすると、やっぱりムードが全然違うんですよね。すごくリラックスしてふわーってなりますし、家族と接していると私はこうして育ってきたなとか、自分はこういう人だなと改めて気がついたりします。そういう意味では、東京では無意識のうちに気持ちを切り替えて生活しているんでしょうね。ここでやっているんだなと実感します。

>環境によって生まれる曲も変わりますか?
変わりますね。もっと違う印象の曲が浮かんでいると思います。北海道だとおおらかで壮大な曲も浮かぶかもしれないですし、沖縄だと明るい陽気なテンションも生まれるかもしれないですし。

>言葉や音に遊び心を随所に感じさせます。
今回はいろんなアレンジを考えるのも楽しかったです。そういうエレクトロなものも好きなんですよ。聴いているぶんには良いんですけど、だからってそんなに機材をいじれるわけではないですし、どうやって作っているのかは全然わからないので(笑)、声を重ねたり、グラスを叩いたり、ものを揺らしたりとかして、アナログでできることで作っていきました。

>他の方の楽曲とご自身の楽曲では、詞の付け方が変わりますか?
基本的には変わらないですね。曲を聴いて、曲の持っている雰囲気で当てはめていっています。曲と言葉がわりと一緒に出てきますね。

>歌詞からはそれぞれの情景が浮かんできます。
具体的に言っていないから、想像させられるのかもしれないですね。私は常にそうで、はっきり言わないんですよ(笑)。思っていることはいっぱいあるんですよ。社会や世界に対してとか、世間知らずなりに思うことはありますけど、それは人それぞれですからね。下の世代とのギャップを感じることがあっても、そんなの時代遅れですよって言われてしまうかもしれないですが、私たちが上から怒られ教わって学んだように私たちが下の世代に教え受け継がせる大切なことはあるのだと思います。

>年齢を重ねられての変化はありますか?
いろんなことを経験して、変わってきているとは思いますね、何が変わったのかと言われたら、何が変わったのかは自分でもよくわからないんですけど(笑)。昔はやりたいことはなんでもやっていましたけど、今はそれだけではなくて使命感もありますし、自分の生活もありますから。これからも音楽を続けていくためのテンションを保つために、肉体的にも精神的にも、普段から気を使って生活はしているかもしれませんね。でも、それが辛いとかしんどいわけではなくて、そうしているのは自分でも楽しいですし、そうしていたいから今も続けているんだと思います。



2ndソロアルバム『窓景』
初回限定盤〈CD+DVD〉TFCC-86497 / ¥3,700(tax out)
通常盤〈CDのみ〉TFCC-86498 / ¥3,000(tax out)


【中納 良恵】
1996年、中納良恵(Vo、作詞作曲)と森雅樹(G、作曲)により〈EGO-WRAPPIN’〉結成。「色彩のブルース」や「くちばしにチェリー」は、多様なジャンルを消化し、エゴ独自の世界観を築きあげた名曲として異例のロングヒットとなる。2014年5月には、ドラマの主題歌・エンディングテーマを収録した「BRIGHT TIME」をリリース。〈EGO-WRAPPIN’〉と並行してソロ活動も展開。2007年には1stアルバム『ソレイユ』をリリースし、ツアーも行う。また、〈東京スカパラダイスオーケストラ〉や〈セルジオ・メンデス〉など国内外のさまざまなアーティストの作品にも参加している。
オフィシャルサイト:http://www.nakanoyoshie.com



text:Pilot Publishing
photo:Hieki Akita(tootootoo studio)
November,2014




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