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Guest 北海道を訪れた今を輝くゲストのスペシャルインタビュー


Nothing’s Carved In Stone


2009年のデビュー以降、インディーズの枠に収まることなくロックシーンを席巻してきた“Nothing’s Carved In Stone”が、今年8月に先行シングル「Pride」を含む4thアルバム『Silver Sun』をリリース。その音楽に対するあくなき探究心と常に挑戦し続ける開拓精神が、ファンのみならず音楽好きからも根強い支持を集めてきたが、今作では結成当時の初期衝動を再び取り戻そうとするかのような、バンドのアイデンティティや勢いが鮮烈に伝わる作品となっている。そして、今作を引っさげ彼らは満を持してメジャーシーンへと進出する。





インタビュー(July,2012)
生形 真一 / “Nothing’s Carved In Stone”(Gt)
村松 拓 / “Nothing’s Carved In Stone”(Vo&Gt)



>まずは北海道に関して印象に残っている思い出から聞かせてください。

生形:『RISING SUN ROCK FESTIVAL』は昨年と3年前に2回出演させてもらったんですけど、フェスとしてのサイズも調度いいし、オールナイトであれだけ多くのアーティストが出演してライブが繰り広げられるフェスは他には無いので、いつも最後の方まで残って思い切り楽しんでいますね。自分にとっても特別なフェスで、仲の良い仲間や先輩、初めて会う方も含めてたくさんの人と知り合える貴重な場でもあります。あと、本州の人だと大抵雪が降ると滑って転んでしまうんですけど、拓ちゃんは運動神経が異常に良くて全然転ばないんですよ。転んだのを一度も見たことが無くて、見ているとびっくりするくらいの速さで氷の上を走るんですよね(笑)。
村松:言葉だとあまり伝わらないんですけど、きっとすごい速さで足は動いていると思いますね。楽しくてついはしゃいじゃうんですよね。

>道民でもそうそう走る機会はないですが…(笑)。
生形:あと、北海道のライブはいつもオーディエンスが熱いですね。以前、オレ達のウェブサイトのトップ画面で動画を掲載していたことがあって、毎回固定カメラでライブを撮っていたんですけど、改めて全部観直して選ぶ時に一番盛り上がっていたのが北海道でのライブだったんですよね。

>今年7月にリリースされた4thアルバム『Silver Sun』はコンセプトを設けずに作られたそうですね。
生形:昨年のツアーが終わってから本格的に制作に入ったので、制作期間は8ヶ月くらいですかね。あえてコンセプトを決めずに、曲単位で良いと思えるネタを集めてきて、それをひとつづつ曲として組み立てながら最終的にまとめた作品です。ライブをするとオーディエンスの反応も直に伝わってくるし、やりたいことがどんどん出てくるんです。だから、CDをリリースして、全国ツアーをまわって、終わる頃になるとまたいろんなネタが溜まってくるというスパンが調度良いんですよね。

>ライブや日常などを通じて、楽曲はどこから浮かんできているのでしょうか?
生形:色々ありますね。いつもネタはたくさんあるので、曲作りに関しては悩まないんですけど、同じことをやるのが好きではないので、これまでの楽曲とは全く違う作品になるように、曲が出来てからのアレンジには時間を掛けています。
村松:ライブでのオーディエンスとの刺激もあるし、メンバー全員新しい音楽もよく聴いているので、結構いろんなところから浮かんできますね。みんなそれぞれでも活動をしているので、いろんな刺激をもらいながら、このバンドで全て出し切れると良いなと思います。

>現在のバンドとしての勢いが作品から感じられます。
生形:これまでアルバムを3枚作ってきて、音楽性に幅が広がってきた実感はあって、自分達の中でやりたいことはやってきたし、それもあって今作はあえてコンセプトを設けず作ってみたんですけど、何も考えずにいざ作ってみたら、わりと勢いのあるものが出来上がってきたんですよね。バンドって時間が経つと落ち着いてくるものじゃないですか。わりとミドルテンポの曲が増えたりとか。逆にウチは1stアルバムに近いようなすごくソリッドな曲が出来てきたので面白いなと思いました。

>今作は特にそれぞれの存在感がはっきり際立って聴こえます。
生形:それはかなり意識していますね。なるべく音質も生々しくしているし、ギターの本数も減らしています。ギターの本数を増やすと音圧も出るんですけど、その分ぼやけてしまうというか、フレーズが聴き取りにくくなってしまうんですよね。ドラムもアンビマイクは単体で聴くとすごく迫力があるんですけど、全体の印象がぼやけてしまうので今回は極力少なくして、すぐそこで全部の楽器が鳴っているように意識しました。あと、オレ達はいつもシンセとかも結構入れるんですけど、今作ではわりと生楽器に頼っていて、ベースにきついモジュレーションを掛けてシンセぽくしたり、ギターもオクターブ上の音を足して厚みを出したりしています。

>生形さんのギターは本当にバリエーションが豊富ですね。
生形:ウチみたいなバンドだとギターが上物になるので、ピアノ的な役割もしたいというのはあります。逆にリズム楽器に徹しなければいけない場合もあるし、そう考えるとアルペジオとかカッティングとかリフだとかは曲毎に使い分けています。

>後半は重さのあるロック色が強くなっている印象を受けます。
生形:曲順は最後に考えたんですけど、他のアルバムを聴く時もやっぱり一番耳にするのは1曲目だったりするので、そこで心を掴みたいというか、今のオレ達がわかりやすく表れている曲を持ってきたいと考えていて、全部出来て並べた時に1曲目の「Spirit Inspiration」は一番ウチらしいし、新しいこともできていると思うので。出だし2曲の流れだけは最初から決まっていました。この2曲は後半に出来たんですけど、出来た時にこのアルバムが完成したという実感がありましたね。2曲目の「白昼」はウチらにするとすごくシンプルなアレンジをした曲で、ストレートでメロディにも力があるし、そういう曲をオレ達ができたのも嬉しかったです。8曲目「Inside Out」と9曲目「Scarred Soul」は前回のツアー中にはベースのリフだけはあったんですけど、作品全体を通じてわりと後半はその頃のオレ達で、前半は最近のオレ達という感じですね。
村松:「Scarred Soul」は一番最初にできた曲なんですけど、それがツアーを終わってすぐの頃で、その時の勢いやテンションが影響してロックな方向に向かっていったのかもしれないですね。曲調も新しいし、メロディーも今までにないものをつけたいと考えていたので、完成した時は「また始まった」という実感があって、「来年のツアーへ向けてまたやるぜ!」という気持ちになったのが強く印象に残っています。前作の延長線上に今作があるんですけど、新しいことには常に挑戦していきたいと考えているので、これまでの音楽性に広がりや深みを持たせられるようにも意識しました。

>今作では日本語詞の楽曲も3曲収録されています。
村松:日本語歌詞は前作から比べると、よりわかりやすい歌詞になっていると思います。日本語詞を書く大きなきっかけは“THE BACK HORN”と対バンで一緒になった機会があって、彼達のライブを目の当たりした時に、歌が持つ力やヴォーカリストとしての力量はもちろん、日本語詞だからこそ伝わるものにすごく衝撃を受けたんですよね。実際、自分達も3rdアルバムで初めて日本語詞を書いたんですけど、ライブとして披露することでオーディエンスの反応がわかりやすく見えたんですよね。バンドの表現としての間口を狭めたくなかったし、日本語詞の持っている力をライブを通して感じることができて、それはオーディエンスの顔が見えていたからこそなので、応援ソングとか誰々に向けて書くというはないんですけど、言葉の向こう側にちゃんと伝えたい相手がいるという精神的な“つながり”を以前より深く意識するようになったのが、より伝わりやすい言葉で書いたことにつながっていると思います。

>歌詞では逆境に立ち向かう前向きな姿が描かれています。
村松:前向きなエネルギーで歌詞を書きたいというのは前提にあって、僕はもともとパーソナルな部分を言葉に書く方が好きだし、リアルな部分を書くべきだと思っているんですけど、もともとネガティブなので暗いことを書くんですよ(笑)。暗いところから見上げている景色の方が好きなんですけど、目の前が開けていく景色みたいなものがイメージとして共有できる言葉が書きたかったというのはあります。人間には二面性があるので、それを表現したいとはいつも考えています。

>今作で活動の場をメジャーへ移されましたが、インディーズでのこだわりはなかったのでしょうか?
生形:全く無いですね。オレ達自身も全く何も変わらないです。メジャー移籍が確定したのは、アルバムが完成した後だったので、今作の制作自体には特に影響は無かったし、正直言うと社長から提案されただけなんですよね。オレ達はこれまでずっとインディーズでやってきていて、まさかこのタイミングでメジャーへ移るとは誰も思わないんじゃないかというのも面白い気がしたし、やっぱりメジャーは大きな組織だし、スタッフのみなさんの力を借りながら新しいことに挑戦していくのもオレ達にとって新鮮なことなので、まだ始まったばかりですけどこれからが楽しみです。
村松:力強い味方は確実に増えるので、どうせならわかりやすく売れたいですね(笑)。でも、これまでと変わらず自分達の音楽を表現し続けていきたいと思います。


『Silver Sun』
ESCL-3945 / ¥2,800(tax in)


Nothing’s Carved In Stone
2008年、始動。メンバーは村松拓(Vo& Gt)、生形真一(Gt)、日向秀和(Ba)、大喜多崇規(Dr) 。生形真一が所属しているバンド“ELLEGARDEN”が2008年9月活動休止になったことをきっかけに、以前からセッションをしたいと思っていた現・“ストレイテナー”のベーシスト・日向秀和に声をかけたのが結成のきっかけ。日向の紹介により“FULLARMOR”のドラマー・大喜多崇規が加入、ボーカル不在のままセッションを繰り返していた。 そしてボーカリストを探っていた生形が「MySpace」で見つけた“ABSTRACT MASH”の村松拓に興味を持ち、大喜多と共にライブへ足を運んだ結果、彼のライブパフォーマンスに惚れ込み本格的に交渉。2009年に1stアルバム『PARALLEL LIVES』をリリース。その後ワンマンツアーや大型ロック・フェスティバルに精力的に参加。 2010年6月に2ndアルバム『Sands of Time』、2011年6月に3rdアルバム『echo』をリリース。2012年8月、メジャーデビューとなる4thアルバム『Silver Sun』をリリース。
オフィシャルサイト http://www.ncis.jp



text Pilot Publishing / photograph Syouta Tanaka
July,2012




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