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《Special Talk》【森島 久 / 《BONCOURA》ディレクター × 山内 公史 / 《ミサンガインターナショナル》代表】


 「メイド・イン・ジャパン」を掲げ、徹底的にこだわり尽くしたオリジナルデニムが、通人の間で注目を集めるブランド《BONCOURA》。そして、北海道では今年6月より『ARCH』での取り扱いが決定。全国的にも異例となる「BONCOURA祭り」と「Alden Trunk Show」が同時開催されるなど、多方面から早くも期待が高まっている。《BONCOURA》デザイナー・森島氏と『ARCH』代表・山内氏にジーンズの魅力について尋ねた。


インタビュー(June,2012)
森島 久 / 《BONCOURA》ディレクター
山内 公史 / 『ミサンガインターナショナル』代表



山内:僕はもともと《ボンクラ》を以前から知っていて、ずっと気になっていたんですけど、《ボンクラ》は宣伝どころか、連絡先も公表していないので、こちらからアプローチする方法が無かったんですよ。いちファンとしてブログだけは常にチェックしていて、そんな時に森島さんから電話をいただいたんです。「ショップを直接見に来たい」とのことですごく驚いたんですけど、もちろんぜひとお返事をして、実際にお会いして話をしてみてすぐに意気投合しました。

森島:『アーチ』の存在は自分のブランドを立ち上げる前から知っていて、古着もあればブランドもあって、その中にも『アーチ』ブランドという芯をしっかり通してセレクトしている。本当に貴重なセレクトショップだと思うし、ブランドを立ち上げた時にはチャンスがあれば作品を置いてもらいたい、一緒に取り組んでみたいという気もちはずっと持っていました。
山内:取り扱われているのは、全国的に見ても本当に良いお店ばかりですよね。
森島:それは本当に俺の誇りですね。取り扱いを決める時は、店頭へ直接行かせてもらって、そのオーナーたる人がどういう人物かを絶対に確認したい。俺の作品は、俺の息子みたいなものですから。“ボンクラ息子”と書いているんですけど、目をかけておかないと、中途半端な奴だったらグレさせるかもしれないですから、たまに俺が喝入れにいかないと(笑)。
山内:取り扱い店舗を選ぶ際の基準は?
森島:取り扱いしていただくということは恋愛と似ていて、どうせなら好きな物同士で並び続けられた方が良いですよね。それも、より良い関係で。だから、オファーがあったからといってすべて受けるわけではないし、自分の中で長く付き合っていける、もしくはパートナーとして一緒に取り組めると確信できたショップにだけお願いしています。
山内:アイテムはすべて、森島さん自身がショップへ直接持参されているんですよね?
森島:ただ送るだけということは絶対にしません。宅急便一個で送ったら自分の想いが伝わらないでしょう。そして、みんなが喜んでくれる顔を、自分の肉眼でちゃんと見届けたいんですよね。自分の作品を愛してもらいたいし、自分の作品を伝えてもらう人のことも愛したいし。だから自分にとっては当たり前のことで、そうやって一緒に取り組めるショップは本当に数少ないので絶対に大事にしたいんですよね。
山内:ファイブポケットは《リーバイス》が原点ですよね。そして、今世の中にデニムを作っているところはたくさんあるんですけど、これまで自分達が古着屋やセレクトショップをやってきた中で、古着や新品問わず多くのデニムを見比べてきて、《ボンクラ》はこだわりはもちろん、唯一無二な独自のスタイルを持っているのが魅力ですね。…あとは森島さんご自身(笑)。
森島:俺、だいぶ変わっていますけどね(笑)。
山内:やっぱり森島さんの遊び心も面白いんですけど、アイテムから物づくりに対する本気度がしっかり伝わってくるんですよね。
森島:その結果が今ある作品なんですよね。原綿から引くことに挑戦して、実際は糸を作るまでにも何百通りという試作品を作っているんですよ。同じ原綿の配合率であっても撚糸の仕方によって全然違うものになるし、それを力織機で織っていくんですけど、それをどれを使うか、どういう織り方をするかでも変わるので、デニムは無限大だと思います。だけど、普遍的な中にも自分らしいものがある、それを表現できるのがデニムだと考えて、デニムを軸としたブランドを立ち上げたんです。《ボンクラ》自身はブランドが始まってまだ一年半ほどですが、僕はヴィンテージと呼ばれるものが今ほど認知されていない時代からいろんな服を見てきました。大阪にアメリカ村というところがあるんですけど、そこへ自転車で行けるような環境にあって、古着や新品のものであったり、当時舶来品と呼ばれていた輸入品をたくさん見てきたので、そこで培ってきた自分のフィルターというものを大事にしています。今まで自分が見てきたものや歴史のあるものを自分なりに解釈して、それをどう作品として作り上げていくかを念頭に置いています。
山内:森島さんが作るものは、ジーパン以外のシャツやベストも含めて、普遍的なものばかりです。
森島:単純に自分の着たいものを作っています。売れるから作るということは絶対にしたくない。その当時無かったもので、こんなものを作っていたら格好よかったのにと思うものを、自分なりの解釈で作っています。結局、ヴィンテージはヴィンテージなので、その歴史までは作ることはできないし、今自分が着たいものを作ることで、みんなをもっと喜ばせたいと考えています。
山内:アイテムを見て感じるのが、やっぱり森島さんはヴィンテージをたくさん見てきているから、随所にその知識やこだわりが詰まっているんですよね。例えば、ボタンひとつにしても、実はこのボタンは《ラングラー》であったけど、実は《リー》でもちょっと違うものが作られていた時代があるみたいな。そういう細部までのこだわりすごく面白いし、見え方もそこまで作り込まれているから、誰が見ても純粋に格好いいと思えるものになっているんですよね。ヴィンテージのシャツが格好いいのは古いから格好いいという人もいるんだけど、実はこういう細部がしっかりしていて、ひとつひとつのこだわりが集約しているからこそ、ぱっと見ても格好いいんですよね。
森島:生地も生き物だけど、縫製も生き物ですから。どう生かしてあげるかによってまったく違うものになるんですよね。同じ生地が出来上がったとして、俺以外の人が作ったらこの作品にはならないからね。それは作り手の想いだから。当たり前ですけど《ボンクラ》は俺にしかできないんですよね。だから、俺はひとりでしかやっていないし、ひとりでやり切れる範疇の量しかできないんですけど、それで良いと思っているんです。それは人と一緒にやるのが嫌いだからとかではなく、自分の中で決してぶれてはいけないし、逆にひとりだからこそできることもありますから、やれるところまでは頑張りたいですね。ただ、ひとりといっても、こうやって販売してくれるメンバーもいてくれるし、そして日本屈指の職人達が一緒に取り組んでくれている。生地を開発するにも、糸を引くにもみんな親身になって協力してくれて、初めの頃は心配もされましたけど、今となっては「やって良かった」とみんな言ってくれています。
山内:面白いのが、形は定番だけど素材はデッドストックが使われているので、売り切ったらそれで終わりなんですよね。
森島:基本的にはデッドストックが大好きなので、ベースとなる型は変えないですけど、このアイテムにはこの素材を使ってあげると格好いいと思うものをその生地がある分だけ作り込んでいます。あくまでデッドストックの生地なので売り切り御免みたいなスタンスですね。
山内 だから、アイテムが色褪せなくて、例えばそれが以前にリリースされたベストでも、その時にしか使われていないデッドストックの生地だっだりすると、愛着にもなってくると思うんですよね。自分が取り扱うセレクトするものは基本的に古着をピックするのと同じ感覚で見ているところがあるんです。だから今シーズンのトレンドもまったく見ていない(笑)。自分達でやってきたスタンスもそうだし、森島さんのブランドともその考え方や価値観はすごく意気投合できましたね。
森島:俺もまったく無視(笑)。好きなものが似ているから、なんとなくこれ良いよね?と言われても、嘘なくうなづける関係ですね。
山内:アフターフォローとしてデニムの裾上げも必要で、『アーチ』ではチェーンステッチが絶対条件なんですけど、今までいろんなデニムを取り扱ってきて初めてだったのが、《ボンクラ》はお直し屋さんがストックしている糸で裾上げをするのではなくて、森島さんの指定する糸を送って、それを《ボンクラ》用としてこのモデルにはこの糸でと、裾上げまで細かく指示されているんですよね。
森島:もちろん。ちゃんと巻幅の指定もします。だって、そこまで頑張って作品を作ったのに、全然違う糸で全然違う縫い方をしてしまうと、裾だけまったく別物になっちゃいますからね。
山内:北海道で取り扱いをさせていただけるのは光栄ですし、お客様にその魅力をお伝えするのも今から楽しみです。
森島:みんなが履いてくれて、みんなの色に変わっていくので、生デニムの魅力はそういうところにあると思います。自分にしかないシワがあったり、自分が酔っぱらってこけて破った箇所があったり、煙草の灰飛ばして焼けた箇所があってもいいし、それが自分のジーンズであり、履歴書みたいなものですよね。《ボンクラ》の作品は本当にこだわっているし、自信を持っているので、「ボンクラ祭り」ではこの商品の魅力を精一杯伝えていきたいですね。


BONCOURA祭り
日程 2012年6月15日(金)~18日(日)
オリジナルジーンズ4型をはじめ、ベストやシャツなどコレクションがフルラインナップ。期間中は森島久氏が直接店頭に立ち、商品選びや着こなしのアドバイスも行う。


Alden Trunk Show
日程 2012年6月15日(金)~18日(日)
“オールデン”正規輸入代理店である『ラコタ』代表の血脇孝昌氏と血脇弾氏が来札し、『オールデン・トランクショウ』も同時開催!両氏が店頭に立ち、ブラックデバイスを使用して足の正確なシューフィッテングやシューケアの相談を行う。また、『アーチ』で現在展開中のモデルに加え、今回の催事のために用意された「アーチ完全別注モデル」もラインナップ。「オールデン・ギャラリー」と題し、様々な業界人の珍しいアーカイヴコレクションも展示される。


BONCOURA
モデルでもあり古着キュレーターとしても活躍する森島久氏が2011年からスタート。ブランドネーム《BONCOURA》は、デニムの発祥の地フランスの“Bon Courage(ボンクラージュ)=がんばれ!”から由来。「信念を貫き自分を押し通す愛すべき馬鹿人間になりたい」という想いが込められている。糸の綿配合から関わり、旧式の力織機で織られるデニム生地は、日に20本分しか作ることができない。生地から縫製まで細部に至るまでこだわり抜かれた、世界最高峰の技術を持つ誇り高き「Made in Nippon」のオンリーワンデニム。
ウェブサイト http://boncoura.jp


森島 久
20年間のサラリーマン生活から一転、モデルへと転職。10代の頃から古着、ヴィンテージ、デニムに夢中になる。その豊富で深い知識をもとに、古着キュレーターとしても活躍。2011年からは自身のブランド《BONCOURA》を始動。
ウェブサイト http://boncoura.jp


ARCH
住所 北海道札幌市中央区南3条西8丁目 第一ビル-1F
電話 011-261-5083
ウェブサイト http://archstyle.tv



text Pilot Publishing/photograph Hideki Akita(TOOTOOTOO studio)
June,2012



RSS Comments 2 Tweet

  1. Comment by ラーイク (@ikuradon2) 2012年6月15日 @ 12:47 PM

    SPECIAL TALK『森島 久 <“BONCOURA”ディレクター> × 山内 公史 <“ミサンガインターナショナル”代表>』|Pilot web http://t.co/U7AAnnJM via @pilot_tweet ハァハァハァ(´Д`)


  2. Comment by Masataka Aoyo (@Aooo1129) 2012年6月16日 @ 3:53 PM

    SPECIAL TALK『森島 久 <“BONCOURA”ディレクター> × 山内 公史 <“ミサンガインターナショナル”代表>』|Pilot web http://t.co/KWbCyZn7 via @pilot_tweet



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