Web Magazine "PILOT"

　2012年よりスタート。メイド・イン・札幌のブランド。遊び心のあるモチーフと独特なタッチ、ポップなカラーリングが魅力的な“七宝焼”ブローチを展開。

URL　http://m-e-d-o.com


January,2013


札幌から発信する、【MEDO】の七宝焼ブローチ。


　伝統的な工芸技法・“七宝焼”によるブローチを展開する【MEDO】。デザイナー・ヤマダカズヤ氏が手掛ける、遊び心のあるモチーフと独特なタッチ、ポップなカラーリング、そして独特の質感や風合いが魅力のブローチは、今、道内外から多くの注目と話題を集めている。
「本格的に始めたのは今年の6月くらいからなんですけど、もともと趣味で作っていたんですよね。車が好きなのでエンブレムが“七宝焼”で作られているのは知っていて、身に付けられるものがあったら面白いなと思って、教室に通い始めたんです。絵は昔からよく描いていて、編み物やフェルトもやっていたし、もともと手先が器用だったのでモノ作りは好きだったんですよね。そのうちに遊びで“フキダシ”の型を作って、自分で身に付けたり、友達にプレゼントしていたんですけど、評判が良かったので試しに知人のショップのイベントで販売したのが始まりです。」

　金属の表面に色とりどりのガラス質の釉薬をのせて焼き付けた“七宝焼”は、ヨーロッパでは“エナメル”、中国では“琺瑯”とも称され、古くから世界中で親しまれている。
「はじめに土台となる板金をカットして、その上を叩いて強度をつけます。叩いたものに裏地を付けて、下地を塗ると色が塗れるようになるんです。人気のある“歯”の型は、銅板を切ると出る余りから大きめなものをカットして作っているんですよね。色を付けるためのガラスの粉は混ぜ合わせて調合できないので、決まった色しか選べないんですけど、こういうベタっとした色合いはあまり使われないかもしれません。大体800～900度位で焼くんですけど、焼いた時間によって色ムラが出たり、濃さが変わるので、自分なりに微妙な調節をしています。あと、独特の質感も気に入っていて、本来は研いでツルンとさせるんですけど、あえてデコボコさせたり、気泡が入っているのをそのままにしています。二度と同じ形のものを作れなくて、全部がワンオフなので特別感もあると思います。」

　表面の艶や色の出方が様々に変化し、どれもひとつとして同じものは無い“七宝焼”の魅力は、知れば知るほど奥深い世界だ。
「まわりでは誰もやっていなかったのと、やっぱりこのトロンとして光沢のある質感が“七宝焼”ならではで、古くからある伝統的な工芸でおかしなものを作るのは面白いかなと思うんです。心得のある人なら簡単にできてしまうし、ちゃんと“七宝焼”をやられている方のものとは比較にならないんですけど、逆に他とは違う個性や味わいがあるように感じています。通っていた教室の先生が作家さんで良い人に巡り会えたのは大きかったですね。」

　どこか懐かしくもあり、新しくもあるような、世代を超えて惹き付ける普遍的な魅力がある。
「もともと個人的に趣味で古いバッチをたくさん集めていて、好きな形や柄を組み合わせて付けたりしていたんですけど、単純に人が付けていないものが欲しかったんですよね。“フキダシ”の型を作った時に手応えを感じたのと、まさに自分が欲しいものだったんです。自分の好きな人物の顔を作ったり、頼まれたモチーフを作ったりしたんですけど、せっかく自分が作るのなら、探しても買えないもの、ありそうだけど手に入らないものを作りたいですね。高校生の頃からファッションも好きなんですけどアートも好きだったので、ネタはまだまだいくらでも拾えそうです。」

　その人柄が慕われ、ショップスタッフやクリエイターからの大きな声援を励みに、ここ地元・札幌から確かな一歩を歩み始めている。
「お題やイメージをもらって作ったり、ショップのキャンペーン用プレゼントとして使っていただいたり、いろんな機会をみなさんから与えていただけているので、本当にありがたいし、感謝しています。これで何かしてやろうなんて大それた気持ちは全くなくて、ゆっくり突き詰めて面白いものを作れたら良いですね。今はいろんな人を紹介してもらったり、ウェブサイトも準備しているので、ひとまず来年一年はじっくり取り組んでみようと考えています。」


December,2012