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アーティスト サトウ アサミアーティスト サトウ アサミアーティスト サトウ アサミ
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《Illustrator》『サトウ アサミ』


 1977年生まれ、札幌市在住。1997年より活動を開始。墨と絵の具で、器や花、模様を描きます。

URL http://shumomo.jp
ブログ http://shumomo.jp/note.html




インタビュー(December,2009)
サトウ アサミ


>まずは、どの作品もモチーフが面白いのですが、どのようにインスピレーションが生まれるのですか?

 特にこれというのはないのですが、常日頃、たくさんのものを見る癖があります。頭のどこかにいろいろなものがしまってあって、急に飛び出してくる感じかもしれません。なので、特定の何かからインスピレーションをもらっているとかっていうのはないかも。日常の生活を過ごしている中からのモチーフが多いと思います。

>日常に当たり前にあるものを再発見できるというか、改めてその存在の魅力や大切さに気がつかされます。
 絵を見てくれた方からよくそういう風に言っていただいています。その部分を特に意識して取り組んでいないだけに、意表をついた感想なのでとても嬉しく思っています。

>引き込まれるような印象の強さと魅力にあふれています。女の子らしさを感じさせる、明るいシチュエーションが多いですね。
 昔は、白黒の木版画とか墨1色で描く絵がほとんどでしたが、今は色を使うことが多いです。もしかしたらまた白黒の絵を描く機会が多くなるかもしれません。木版画や墨のイメージというのが自分の中でも強いし好きなので、やっぱりそこが基本となっているかも。

>版画などの表現方法や、和紙などの素材など、作品にはどこか日本的な表現を感じるのですが?
 基本的にいつも和紙に描いています。黒の部分は全て墨を使っていることもあって、和紙との相性が良いです。洋紙では表現できない独特の滲みや掠れ、意外な線が出るので、和紙のそういうところが好きでずっと使っています。和紙と墨を使っているからといって、日本的な絵を描こうとか描きたいという気持ちはないのですが、日本の文化や空気、感覚が好きだし、体で知っているのは日本のことなので、いろいろな要素が合わさってそういう雰囲気の絵が出来上がるのかなと思います。

>以前パリへ行かれていたこともありましたが、いろんな土地を訪れてみるとまた作品が変化するかもしれませんね。
 私もそう思います。今まで知らなかった文化や空気の中にポンっと置かれた時って、アンテナがすごく敏感になっているんだと思います。実際にパリへ行った時にホテルで何枚か絵を描いたのですが、きっと今は描けないような、面白いものが出来上がりました。

>作品によっても異なると思いますが、製作期間はどれくらいですか?
 いつも驚かれるのだけど…..実際筆を動かして描きだすと、1枚5分で描くものもあれば、時間がかかったとしても20分くらい(重ねて描く時の乾かす時間も含め)で描いてしまいます。逆にじっくりと時間をかけて描くのは不得意です。思い立ったら一気に描きたい。

>すごい勢いですね!作品を作る上で、特に大事にしていることは何ですか?
 計算して描かないことかな。下書きはほとんど描かないですが、構図とかも描く前に少しは意識するけれど、やりすぎるとどことなく変な感じになってしまいます。和紙を机に置いて、描きたいものを頭から引き出してとにかくまずは筆を動かしてみる。描いてみてダメだったら、また新しい和紙に描く。

>意外と体育会系ですよね(笑)。印象に残っている作品とそのエピソードについて聞かせてください。
 普段、朱色が好きでホントによく使うのですが、青っぽい色ってなかなか選びませんでした。ある土曜日の夜、ハッ!っとひらめいて描いた絵があって、それが青というか蒼を初めて大きな面に使った絵でした。ターコイズのような、何色か混ぜて作った色だったのですが、それがすごく新鮮な感じがして、出来上がった時にドキドキしたのを覚えています。それをきっかけに、青を使うことが多くなりました。

>告知ポスターや店舗の壁画なども数多く手がけられていますが、仕事と作品との関わりについてはどのように考えていますか?
 私が今まで手がけてきた作品をきっかけとしてご依頼をしてくださっていると思うので、なるべくいつもの制作の延長線上でできたらと思っています。でも、店舗のお仕事の場合、そのお店のコンセプトなどいろいろな情報をとりまぜながら制作に取りかかるので、自分がやったことのないものや描いたことのないモチーフを描くことがあるので、その時は新しいことに挑戦する気持ちも加えながら、意識しすぎないように取り組んでいます。いつもの制作とお仕事の制作は常に寄り添っているものだと思います。

>展示会など道外での展開もされていますが、アーティストとして東京で挑戦しようという選択肢はありませんでしたか?北海道を拠点に活動を続けられているのはなぜですか?
 ガッツがあればどこででも仕事はできる!と思いながらやっていますが、いつか札幌を離れるかもしれないし、離れないでこのままやっていくかもしれないし。まだこれからのことはわかりませんが、生まれ育った土地を拠点として活動できているのはありがたいなぁと思っています。慣れている場所なので動きやすいし、知り合いもたくさんいるし。でもたまに思うのは、積極的に何かに向かっていきたい時にもどかしく思ったり、活動範囲が狭いなと感じるときは正直あります。機会があればもしかしたら拠点を変えるかもしれません。

>アートに興味を持ったきっかけについて聞かせてください。また、最初に手がけた作品について教えてください。
 始めからアートという括りで活動している意識はないのですが、物心ついた頃には何かと作ったり描いたりしていました。将来のことを考えだした頃には、誰に言われたわけでもなく絵の仕事をやりたいと自然と思ってたし、行動していました。そんな風に考えていた頃、木版画を制作したのですが、木版画をやっていない今現在もその勢いはいろんな部分で基本になっている気がします。

>これまで影響を受けたアーティストや好きなアーティストを教えてください。
 マティスの切り絵や線画を初めて見た時は、キラキラと何かが降ってきたような感がありました。大好きです。

>最近ハマっていることはなんですか?
 4〜5年前くらいから始めたギターが楽しいです。全くの無知から始めたのですが、父がやっているのでわからないコードがあれば聞いたり、現在も仲良くしている高校の時のデザインの先生も楽器に長けているので、みんなに教えてもらいながらムッツリとやっています。楽しいですよ。

>よく行くスポットがあれば教えてください。
 お仕事もさせてもらっている佐藤珈琲さんには、お仕事の時以外でもお茶をしに行ったりしています。店主の佐藤さんのやんわりとしたペースがお店にも現れていて、ゆったりとできてとても良い気分転換の時間になります。

>今、一番欲しいものはなんですか?
 これからの制作活動のひとつにしたいと考えている、布作りができる道具を作りたいです。

>自身にとって、作品を制作することにはどんな意味がありますか?
 いいなぁと思うことやこんな感じどう?というのを何かしらの形で外に伝えることをしたいから、たまたま絵というものを通して表現しているのだと思います。絵を描くことは言葉の代わりかもしれません。

>確かに自身がそのまま表現されているように感じます。今後の活動について、これからどんな作品を作っていきたいですか?
 日常生活で使うものに関連する作品はこれからも描き続けたいです。全く逆に、お芝居やCDジャケットなど、違う分野のアーティストさんと何かしらの形で作品を作ってみるのも面白いですね。


text pilot publishing / photograph Kei Furuse(studio k2)
December,2009



インタビュー(October,2005)
サトウ アサミ

>アートを仕事にしようと決められたきっかけを教えてください。
 初めて自分の個展を開いた時ですね。個展に来ていただいた方から「イタリアンレストランを始めるので、お店の看板を描いて欲しい」との依頼をお受けしたんです。ちょうどその頃、作品を額に入れて飾るだけではなく、何か違うデザインへ溶け込ませられないかなぁ〜?と考えていましたし、以前から建築デザインに興味もありましたので、看板が出来あがったのを見た時に、こういう表現方法もいいなぁと感じました。それがきっかけでお仕事をいただくようになって、まわりの人たちに支えられながら今に至るという感じです。自然の流れですね。

>制作をされる上でのコンセプトはありますか?
 生活している中で目に飛び込んでくる”物”や”模様”ですね。例えば台所の食器棚や、テーブルの上の皿に入った果物とか、お花、あとTVで観たものとか。アイデアの元は生活密着型です…(笑)。デザインの傾向としては、ちょっと昔っぽい感じにはこだわっています。黄色がかったお母さん青春のような感じ…(笑)。あと、普段は人物や風景は描きません。でも、今回の東京で行う個展「作業机から」では挑戦してみました。将来的にはテキスタイル(布の模様)のデザインもやってみたいと考えています。それと同時に、洋服のデザインなんかもできたらいいなぁ〜と…(笑)。

>創作活動でのやりがいや苦労について聞かせてください。
 自分の発想から生まれる仕事なので、夜遅くて大変だぁ〜とかそういうのはありますけれど…(笑)、好きなことが仕事になっているので、苦になることはありません。嬉しかったことは、最近アメリカからトートバックのデザインの依頼を受けたことです。札幌でしか活動していないのに、海外から声を掛けていただけたのはすごく嬉しいことですね。まだ打ち合わせの段階なので商品になるかどうかはこれからですけれど、とりあえず声を掛けてもらえただけでも嬉しいです…(笑)。それと、作品を大切にしてくれる人たちがいるというのも幸せです。

>北海道を拠点にされている理由は?
 家があるので…(笑)。結婚しているので、簡単に引越しはできませんね…(笑)。でも東京で個展を開いたり、結構自由に動いています。

>では最後に、読者へメッセージをお願いします。
 東京なのでちょっと遠いですけれど、機会があればぜひ個展へいらしてください。


text pilot publishing


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