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ブランド『the last flower of the afternoon』


『スズキタカユキ』のパタンナーを4年半務めた後、2009年に地元である北海道にて設立されたブランド『ザ・ラストフラワー・オブ・ザ・アフタヌーン』。”言葉、想い。そして、時の経過。”をコンセプトに、手仕事や様々な加工、(あるいは、想いや祈り)により、衣服を通して物語や温もりを表現している。素材にはデッドストックやアンティークも一部使用され、手作業での縫製や染色も行っているので、作品はすべて一点物で表情が異なる。また、できる限りロスを少なくするため完全受注生産が採られている。


インタビュー(December,2009)
YAMADA / 『the last flower of the afternoon』


>まずはブランドを始められた経緯について聞かせてください。

東京のスズキタカユキさんのもとでパタンナーや生産管理などいろんな経験を4年半ほど積ませていただいていました。人のデザインを形にするということを仕事にしていましたが、自分の内側から溢れ出るものが日に日に強くなってきて、独立を決心しました。どうせ始めるのなら東京ではなく、自分の大好きな生まれ故郷で挑戦してみたいと思い帰郷しました。

>もともと独立を考えられていたのですか?
最初は全く考えていませんでしたが、作っているうちにやっぱり挑戦してみたいという気持ちを抑えられなくなってしまいました。そもそも服飾系の学校へ入った一番の理由は、デザイナーになりたかったからだったんです。結局パタンナーで入ったのですが、自分の根源というか、衝動に駆られたのはデザインしてみたいという気持ちだったんですよね。

>ブランドのコンセプトについて聞かせてください。
特にこれといったことは決めていなくて、いろんなことに挑戦していきたいですし、コンセプトに縛られたくないと考えています。ただ、洋服から時間やストーリーを感じられるものを作りたいというのは根底にあります。

>ブランド名も個性的ですね。
村上春樹さんの作品がすごく好きで、そのひとつに『午後の最後の芝生』という短編があるんですけれど、そのタイトルを少し変えて頂きました。英語表記にしてみると少し長くなって、ぱっと見も何のグループだかわからないような字面だったのもなんとなく気に入りました。あとは個人というよりチームとして成長していきたいという想いもありました。洋服を作るにも、生地屋さんや縫製屋さん、糸屋さんや付属屋さんなど様々な職種があって、全てが協力し合って洋服は出来ています。僕らだけでは何もできませんから。他のブランドさんもデザイナーさんありきでメインに出ていると思うんですけれど、ブランド名に自分の名前を付けるのは少し照れくさかったんですよね。

>シーズンごとにストーリーが用意されているんですね。
そうですね。本が好きなのでいろいろ読んで、少し離れたところにある洋服と物語を融合させて表現したいと考えています。

>読書から影響を受けている?
本だけではなくて、写真だったり映画だったり、いろんなところから影響は受けていますね。

>今期は2010年の春夏コレクションとなっていますが、どんなテーマになっていますか?
僕は小さい頃におじいさん・おばあさん子で、その想いや感謝を自分の洋服を通じて表現したいと思いました。育ててくれたおじいさん・おばあさんはいなくなってしまったけれど、残されたその子はそれでも頑張って生きていく、そんな悲しみの中にも光はあったり、大切な人が残してくれたり、作ってくれた服はどんな物よりも素敵なものなんだということをメッセージとして伝えたかったんですよね。これはストーリーありきで、その子だったらどういう風に作るのかな?とか、このシチュエーションだとどういうものができるのかな?というのを、どんどん発展させて作っていきました。極端な話ですけれど、「ありがとう」という感謝の気持ちを込めて縫っています。

>素材感や風合いが柔らかく、どれも着心地が良さそうですね。
これもスズキさんのところで学ばせていただいて、自分もすごく共感したことなんですけれど、なるべく天然繊維のものだけを使おうと考えています。化学繊維だと肌に合わないこともありますし、自然のものはやっぱり優しい感じが出るんですよね。

>主にどんな素材を使われていますか?
綿と麻を中心に、シルクを一部使っています。中にはデッドストックやアンティークも使われているんですけれど、街をぶらぶらしてアンティークショップや古物屋さんなどで探しています。

>異素材の生地を組み合わせているのも特徴的ですね。
既製服というのは同素材で、無機的な印象を個人的には受けるんですよね。素材を組み合わせることで有機的なものになるというか、洋服自体に命を吹き込まれたように感じるので、意図的に様々な素材を使っていますね。なるべくいろんな素材を組み合わせたいと考えています。

>主なターゲットは女性ですか?
基本的にはレディースです。シャツとかはそんなにタイトにはしていませんので、男性でも十分着ていただけるサイズになっています。

>あえて汚したり焦がす加工をされているのも特徴ですね。
自分達が好きだったり、美しいと感じるんですよね。あまりピカピカしているよりも、焦げたり錆びていたりする方が格好良かったり、汚れた中にある美を提案していますね。きれいなスニーカーはちょっと気恥ずかしくてわざと少し汚してしまったり、折り目がきちんとなっているシャツも洗ったりしてしまうような感覚と似ているのかもしれません。あんまりきれい過ぎるものって少し敬遠してしまうんです。

>加減が難しいと思うのですが、最初から加工を想定されているんですか?
どちらもありますね。最初から加工しようと考えて作っているものもあれば、逆に出来上がりを見てから加工したりもします。

>ブランドとしてのこだわりはありますか?
今期ということであれば、ぬくもりを感じられるような洋服を心がけて作っています。それは手縫いだったり、ストーリーを感じられる染みだったり。おばあさんがずっと着ていた洋服に染みが付いていたとして、それは他の人にとって見栄えの良いものではないかもしれないけれど、本人にとってはかけがえのない愛しいものだと思うんです。

>もともとアンティークはお好きだったんですか?
そうですね。学生時代はあんまり興味が無かったんですけれど、働き出すようになってからです。アンティークには、それこそ誰かも知らない人の愛着や歴史が感じられたり、時間の経過で変化する錆びだったり、やっぱり時を経たないと出せない味ってあるんですよね。もし僕らの作った洋服から時を感じていただけたらすごく嬉しいです。

>商品はすべて受注生産の形で販売されているんですね。
無駄な物を出さないというか、大量に生産して余すようなことをしたくないんですよね。できないというのもあるんですけれど…(笑)。その人が欲しい物を受注していただいて、その人のことを考えながら作らせていただくというのは、小さい規模だからこそできることですし、今だからできることを大切にしていきたいと思っています。

>ブランドと並行した展開もされているそうですが?
外注のデザイナーやパタンナー、あとは僕らなりの直し方になってしまうんですけれど、着れなくなった古着のリメイクも受け付けています。もともとスズキさんのもとでウエディングも担当していましたので、オーダーメイドもお受けしています。お客様と一対一で向かい合うことは普通のブランド活動だとありえませんが、オーダーだとお話をしながら直接コミュニケーションを取りながらお作りすることができるので、もっと増やしていきたいと考えています。

>では最後に、今後の展開について聞かせてください。
今はショップさんとのコラボレーションの話をいくつかいただいています。あとは来年の5月か6月に向けて秋冬の展示会の準備を進めていて、秋冬はウールや皮革を使っていきたいと考えています。


<取り扱い店>
『ほたるdesホタル』
住所 北海道札幌市清田区北野5条1丁目2-10
電話 011-885-5305
営業時間 10:00〜18:00 
定休日 日曜・祝日・3のつく日
※リメイクのみ取り扱い


photograph Ryouichi Kwajiri(Kawajiri Syashinkan)
December,2009



RSS Comments One Tweet

  1. Comment by YUMI (@YUMIMOMA) 2012年11月8日 @ 6:57 PM

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