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Creative 北海道を拠点に活躍するクリエイターやブランドをクローズアップ


ブランド『ezo persimmon“Deer Park”』


北の大地、北海道。その大地が作り出す、たくさんの天然素材。壮大な大自然、美しい景色、そしてそこに生息する野生動物たち。『エゾパーシモン』は、北海道産の天然素材を活用した商品による、新たな流通サイクルの構築を目的としたプロジェクト。天然素材が秘めている底知れないパワーをデザインし、日常生活をスタイリッシュに演出できるアイテムを展開している。
『エゾパーシモン』が第1弾に選んだ天然素材は”蝦夷鹿”。ヨーロッパでは狩猟による獣肉を”ジビエ”と呼び、鹿肉は高級食材として扱われており、日本でもイタリア料理、フランス料理などで蝦夷鹿肉の料理を口にする機会も多い。『ディアパーク』は蝦夷鹿の骨、角のパワーをデザインしたファッション雑貨を提案。インテリア、オブジェ、アクセサリーを古木やシルバーと組み合わせ、独自の世界観を作り出している。



インタビュー(December,2009)
柿本 英一 / 『ezo persimmon』
原 ななえ / 『FURNITURE DESIGN AGRA』


>まずはブランドを始められた経緯について聞かせてください。

柿本 もともと僕が10数年アパレルで仕事をしていたのですが、独立して原さんとたまたま出会えたのがきっかけですね。お互いの共通点として、北海道の素材を使った商品を作ることと、それによって北海道のモノと他エリアのお金を循環させるような仕事をしたいと話していて、ちょうど蝦夷鹿をテーマにモノ作りをしたらどうかとアドバイスをいただいたのもあり、具体的にブランドとして取り組み始めました。

>立ち上げられたのはいつ頃からですか?
柿本 5ヶ月前ですね。猟師さんをはじめいろんな方と縁があって、急速に進展しました。もちろん形にできたのは原さんの御協力があってこそなんですけれど。
原 2009年6月くらいからですね。リーサーチみたいなのは少しできていましたけれど、やろうと決めてから急いで形にしました。9月に東京で展示会ができることになっていたのですが、ある程度形にしないと始まらないので、それに間に合わせて作ろうということになって。急に頑張りました(笑)。

>原さんが今までに手掛けられてきた商品とは全く異なるテイストですね。
原 そうなんです。どうしても鹿なので、ワイルド過ぎるテイストをなるべく抑えながら自然の形を生かすようなことがもう少しできれば良いと考えているのですが、まだまだ研究中です。ワイルド過ぎず、生活の中にさっと取り入れられるみたいな。

>そう考えると「せんとくん」はすごい完成度ですね…(笑)。
原 まだ何かが必要なんです。自然には勝てないので、人間のできる範囲を思い知らされたみたいな状態です。でも、うまくできたら最高に格好よくなると思います。まだ模索中なので、ちょっとづつできればいいですね。

>鹿というのは意外と身近に見かけなかった素材ですね。
柿本 鹿の角は毎年抜けては生えるを繰り返すので、”再生”とか”復活”のシンボルなんですよね。自分たちなりに自然を敬いながら扱いたいというか、縁起物みたいな感じに捉えています。それはすごくテーマとして良いなと感じているんですけれど。
原 より普段の生活に取り入れ易くデザインできればと考えています。

>素材としてはどのような印象をお持ちですか?
原 ものすごく固くて、ひとつひとつ形が違うし、曲げたりもできないので、木や鉄のようにラインへ乗せたりということがなかなかできない、形を作る上でとても難しい素材なんです。だから、いろんな人からリクエストをいただいたりもするのですが、そこへ合わせていくのが大変です。

>ブランドとしてのこだわりはありますか?
原 モノを作る人間として最低やってはいけないところで、変なゴミを出したり、必要ないものを作ってバラまくような、いらないものを作る行為はしません。無駄な殺生をせずに、猟師さんが穫っているものを分けていただくという構図みたいなものは守ろうと考えています。
柿本 最近、エゾシカが増えていることが問題視されていますけれど、肉だけ取ってそのまま捨てられているものを僕らがもっと活用できて、生活の中に落とし込めるアイテムとして提案できれば、すごく意義がある気がします。

>鹿の肉以外の部分がどう処理されているのか、あまり考えたことがありませんでした。
柿本 猟師さんと話をさせていただくと「こんなものが欲しいのか」と言われるんですよね。こういう形の商品になるという説明をするとすごく喜んでくれるんですよ。自分たちの身近にあったものが、形が変わって大事に扱われるということに感謝されたりするので、それはすごく嬉しかったですね。
原 無理しないでお互いにメリットがあればいいですよね。すごく良いことをしようという気は全くないけれど、最低限良心のある行いだけはしていきたいです。

>ブランドロゴは北海道がモチーフになっていますね。
原 そうなんですけれど、大々的にはうたうつもりはないんです。こっそり北海道みたいな(笑)。

>鹿の魅力についてどのように感じられていますか?
原 角だけで存在感があるし、本当は手なんか加えられないです。ため息がでるくらい格好いいから。自然には太刀打ちできないし、アイヌの人が自然を神と崇めている理由もよくわかります。ゆるぎない魅力がもうすでにあるから、あとはどうあやからせていただくかみたいな感じです。
柿本 角や骨の形は動物として長く生きてきた中での必要性のある造形なので、結局僕らが影響力を与えるようなことはないかもしれませんが、僕らが人間として社会生活をする中で、家や食だったり、どのステージにもまだあまり見かけなかった素材だと思うんですよね。僕らの活動を通じて、今まで活かされていなかったものが生活の中で生き返るみたいな活動をしていきたいです。

>今後の展開について聞かせてください。
柿本 東京の展示会を予定しています。地域性とか自然のものというところでの企画としてはすごく面白いなと思っているんですけれど。いろんな角度から探っていて、一般のお客さんにも販売していきたいですし、ショップのディスプレイや什器としても提案していけたらと考えています。

>海外のお土産は格好いいですけれど、日本のお土産はイマイチ飾りにくいんですよね。
柿本 お土産屋さんのくくりから脱せられないというか。デザインやパッケージがもったいなくて、洋服屋さんとかに置いてあったらケタが違うくらいに売れそうな質が良いものもあるんですけどね。

>北海道はなぜか御当地のキティちゃんや加トちゃんばかりですから…(笑)。
原 とはいえ、やっぱり消費することが北海道にも鹿にとっても良かったりするので、御当地コラボとかそういう話があれば大歓迎ですけれど(笑)。 

大人だなあ…(笑)。


鹿角
長い年月をかけて進化をして出来上がった自然のカタチ。無駄のない美しいフォルムは、まさに生命が作り出した究極のデザインと言える。鹿角は生えて抜け落ち、そしてまた生えるを繰り返すため、”復活”と”再生”のシンボルとして、古くから珍重されてきた。また、古来アイヌの人々には海難、水難のお守りとしても使われている。



<取り扱い店>
『FURNITURE DESIGN AGRA』
住所 北海道札幌市中央区南6条東1丁目2-1F
営業時間 11:00〜19:00
電話 011-533-4149
ウェブサイト http://www.agra.co.jp


photograph Kei Furuse(studio k2)
December,2009



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