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人形劇場『札幌市こどもの劇場 やまびこ座』(札幌市)


住所 北海道札幌市東区北27条東15丁目
電話 011-723-5911
営業時間 9:00〜17:00
定休日 月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)
ウェブサイト http://www.katsudokyokai.or.jp/sisetu/gekijou

人形劇や児童劇などを上演する公立の劇場。約300人を収容するホールは、照明・音響・吊物などが設備され、 様々な舞台の形式に対応できるようになっている。図書コーナーには子ども向けの図書や人形劇・児童劇など専門図書約4,000冊と紙芝居700冊を蔵書。公演のない日でも、図書の貸し出しや読み語りの会、工作会なども行われている。また、札幌の姉妹都市から寄贈された人形の他、人形師大江巳之助作の文楽人形も展示されている。





インタビュー(April,2010)
吉田 千恵 / 『やまびこ座』

>まずは劇場の紹介をお願いします。

札幌市の施設で、人形劇や児童劇を子どもたちのために公演する劇場になります。

>具体的にどのような活動をされているのですか?
主に土曜日・日曜日・祝日は公演を行っていて、水曜日には「読み語りの会」も行っている他、人材育成にも力を入れておりまして、小学生を対象にした演劇の講習会や、エントランスにも展示されている人形浄瑠璃のワークショップも行っております。

>児童劇も子どもならではの演技や一生懸命さが新鮮です。
大人は大人の面白さがあるのですが、児童劇は子どもらしさや素直さといった、大人とは全く違う魅力があるんですよね。

>若い方は人形劇を観にいらっしゃっていますか?
お子様連れの若いお母様は多くて、スタンプラリーを集めていただけたり、リピーターの方にもたくさんお越しいただいております。ただ、子どもが観るものというイメージがどうしても強いので、お子様がいらっしゃらない方が観る機会はやはり少ないようです。先入観を取り払って、まずは一度気軽に観にいらしていただきたいですね。実は私も当館に勤めるまで観る機会が無かったのですが、初めて観た時はカルチャーショックというくらい感銘を受けました。大体が子ども向けなんですけれど、中には大人が観た方が共感できる作品もあるんですよね。

>大人でも読めると若者を中心に絵本の魅力や価値観は見直されています。
人形劇の世界では、活動をされている方は長く続けられていますが、新たに始める若い方が少なくなっていて、演じ手の平均年齢は高くなっています。それもあって、『こぐま座』では「初心者のための人形劇講座」を開催しているのですが、今まで日中だけだったのを昼と夜の2回催しておりますので、若い方でも仕事が終わった後にお立ち寄りいただいて、ぜひ人形劇を始めるきっかけにしていただきたいです。

>読み聞かせはできても、人形劇を始めようと踏み出すまでは少し勇気がいります。
「ちょっとやってみようかな」という軽い気持ちで始められた方が多いと思うのですが、みなさんとにかく楽しそうにされています。お客様へお観せするのはもちろん、公演の依頼を受けて道内の遠方をまわられたり、劇団同士でつながって仲間ができるのも楽しいみたいです。現在もいくつかの劇団が協力し合って、今年7月の公演へ向けてひとつの大きな作品を作ろうと頑張っていらっしゃいます。

>では最後に、人形劇の魅力とは?
個人的には、演劇とは違った人形劇だからこそ可能な表現です。それこそ空を飛ぶというのを演劇で表現するのは難しかったり、人が言うと強い言葉でも人形を通すことで和らいで伝わったり、人形だからこそできる表現があると思っています。


text Pilot Publishing / photograph Kei Furuse(studio k2)
April,2010



インタビュー(November,2003)
岩崎 義純 / 『札幌市こどもの劇場やまびこ座』館長 

>まずは現在の北海道における人形劇の現状について聞かせてください。
人形劇を観たいという需要はある程度ありますが、その需要を満たすだけの劇団の数が足りていないのが現状ですね。実際に60歳でもできるので、若くないとできないわけでもありません。『こぐま座』が開館して26〜7年になりますが、当時の人形劇の絶対量というのは圧倒的に少なかったんです。『こぐま座』では上演と別に「人形劇講座」も催していて、現在活動されているお母さん達のグループには『こぐま座』が育てた方達が多いんですね。以前に採った統計では波があって、人形劇団の数がある程度あって供給のレベルが高い時には、新しい劇団が出てこないんです。現在は20年くらい続けられている方達の層がある程度ありますので、新しい劇団はあまり出てきていません。ですから、新しい劇団を育てようと懸命に試行錯誤しているところです。

>講座にはどのような方がいらしゃっているのですか?
子育てを終えて、ちょっと余力ができたお母さん達が多いですね。続けていると、“子どものため”にという意識から、面白いので“自分のため”にやるという意識に変わる分岐点があるんですよね。

>先鋭的な作品が増えると若者の興味を引きやすいと思うのですが、クリエーターなど他分野から参加されることはありますか?
人形劇はいろんな要素を持っています。人形を作ることもそうですし、台本を作ったり、演技をしたりと役割が多岐に渡っています。演劇の役者だと自身の身体ひとつで表現しないといけませんから、細かいところにまでこだわらないと良い演技ができませんが、人形劇はどうしても分散してしまうんですよね。それを先鋭化されたジャンルの人から見ると、生ぬるく感じられるかもしれません。そういう部分では、いろんな才能が入ってきていただけることで、人形劇がもっと面白くなる思います。

>ひとりで数役こなさなくてはならない複合的な芸術ということもあり、難しい問題ですね。
尖ったものだと社会に適応しきれないですし、そうするとお金は入っても無難なものになってしまったり、一方で生活もしていかなくてはいけませんから、それはどこの業種でも共通する課題だと思います。でも、もっと自分勝手な理由でやっていい気がするんですよね。今はわりときれいな答えが返ってきますけれど、それは世の中が判断すればいいことだと思うんです。人形劇はもともと占い師が多くの人にアピールするために作られたジャンルなんですよね。

>自己表現から発展してきたのかと思い込んでいました。
もともとは職業からきているんです。詩人や絵描きなど、全ての芸術は職人のやることで、いわゆる芸術家ではなく特殊な能力を必要とする職人だったんですよね。今でも中国には残っています。アマチュアとかボランティアといった言葉が成立するようになったのは、文化や芸術という概念が確立してからですね。もともとは生きるための技術だったんです。底辺であるアマチュアの頂点にプロという少数が載っているという三角形ではなく、プロは初心者の段階からプロとして育てられてきたというのが本来の形であると思います。

>プロとして専門的に突き詰めていくとレベルも上がります。今後、北海道からも面白い演じ手が増えてくるといいですね。例えば、“いっこく堂”は一躍時代の寵児となりましたし、成功された方が出てくると後に続いてきますから。
名前と顔が一致するような人が出て、金銭的にもついてくるのなら、その方自身のレベルも当然上がるでしょうし、そういった意味では、もっと認められてもいい気がします。僕らからすると、メジャーになるかもしれない人をなんとか育てたいですね。ゲームを作っている人が叩かれてしまうのは、お金儲けをしているイメージがあるからだと思うんです。でも、人形劇をやっていてお金持ちになった人はいませんから。プロは完全にギャラの世界ですけど、世の中の年収の感覚でいくと3分の1ほど。ですから、ボランティアというイメージもあながち間違いではないんですよね。

>早くからTVやゲームで知識を得たりと、ターゲットである子どもの姿も変化しています。逆に、最近では大人でも楽しめると絵本が脚光を浴びています。
最近の絵本はかなり毒があったりしますよね。結局、作り手側が大人なので、子どもと同じ心を持っている部分もあるとは思うんですけれど、それ以外の部分を引きずっているように感じます。クリエーターが大人であれば、どうしてもそういうものを引きずらないといけませんし、自分の表現意欲としてそこまで踏み込まず、きれいな部分だけにしてしまうと、人間性が感じられなくなってしまうんですよね。

>結局、根本となる作り手自身に委ねられてしまうんですね。
昔の子供というのは今の子どもよりもすごく残酷でしたし、大人も子供へ与えるものはきれいなもので収まっていたんです。今は子ども達に対する大人の目が行き届くようになって、逆にあまり触れさせないようにしていて、そのため子ども達の個性は失われてきてしまっているように感じます。だから、大人が子ども達に与える物に毒が入ってきている、そういうバランスで成り立っているような気がするんですよね。

>確かに残酷さや暴力という要素は、どの時代にもあったように思います。近年ではテレビや映画も規制されていますので、フィルターを通して触れている気がします。
子ども達もゲームはゲームだと知っていますからね。ほとんどの人はそれが架空の世界だと理解しているんです。そのことに目くじらを立てても、子どもの残酷性を育てるということではないと思います。今は子ども達に危ないことをさせないよう、社会全体がそういう方向に進んでいますよね。もっと大事なところで、木登りをさせて“木から落ちるとどうなるか”ということを体験させた方が、どういうことをすると危ないのかがわかるのですが、それを誰の責任で行うかということですよね。親も逃げるし、学校の先生も逃げてしまう社会の中では小さくまとまったものにならざるを得ない。そういう状況の中で子どもへ影響を与える文化を作っていくということなんです。文化とか心のケアとか言われていますが、「子ども達のために…」というオブラートに包まれた社会構造の中で、人形劇が子どもたちの娯楽として果たして生き残っていけるのか、危機意識は常に持っています。


text Pilot Publishing
November,2003



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