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Guest 北海道を訪れた今を輝くゲストのスペシャルインタビュー


ミュージシャン【THE TON-UP MOTORS】


北海道では“専務”としておなじみ、上杉周大がフロントマンをつとめるロックバンド〈THE TON-UP MOTORS〉。ド派手な見た目に侮るなかれ。地道な下積みを長年重ねてきたバンドだからこそ、実力の伴ったサウンドとパフォーマンスには説得力があり、老若男女問わず皆を楽しまる。2ndアルバム『KEEP ON STANDING!!』で今こそ、バンドの意志と底力が試される!




インタビュー(February,2015)

上杉 周大(Vo)
井上 仁志(Gt)
長谷川 雄一(Ba)
堀内 俊聡(Dr)



>昨年、故郷・北海道の全市町村を巡る「北海道179市町村ツアー」を成功されましたが、今の心境はいかがですか?

上杉:ひと言ではなかなか表しにくいんですけど、北海道の全市町村を実際にまわったバンドはあまりいないだろうという自負はあります。幸いなことに、僕は北海道でテレビやラジオの仕事をさせてもらっていることもあって、良い意味で年齢層や客層を飛び越えて、ライブハウスに行ったことのない方達にも興味を持っていただけたのではないかと思います。実際、まわっている間は大変でしたけど、おかげさまで北海道中の地域や人達と今もつながれていて、欠けがえのない財産が得られた一年になりました。
長谷川:残り10市町村のカウントダウンは本当に寂しかったです。これだけ一緒にいると、くだらない喧嘩とかも現場でちょいちょいありましたけど、それでもまだこうして一緒にいられているので、このバンドはこれから先も安泰だと改めて思いました。
上杉:北海道市町村ツアーは、ほぼ毎日2ステージくらい演奏していたので、しんどい時期や苦労ももちろんありましたけど、それも慣れで徐々に順応していきました。今だから言えますけど、それだけ特別な毎日であっても、それが何日も続くと慣れ始めてしまう自分がいるんですよ。油断すると、最初の感動が持てなくなりそうな自分がいたりするのが怖かったですね。ありがたいことに、荷物を運び入れたり、イスを並べたりと、役場の方や各会場のスタッフのみなさんが善意でお手伝いしていただいていたので、だから絶対に慣れてしまわないように、家へ帰った時やひとりの時間に気を引き締め直していました。人としても成長できましたし、とにかくためになった1年でした。

>ライブを観られたお客さんの反応はいかがでしたか?
上杉:ありがたいことに、みなさん楽しんでいただけたようでした。やっぱり音楽はみんなのものですし、子供もお年寄りも笑顔になれるのがポピュラーミュージックだと思うので、僕達はルーツを大事にしながら、間口を広げることも意識しています。自分自身が音楽が好きでレコ屋に通うようなリスナーだったこともあって、音楽ファンにも納得していただけるところも散りばめながら、いわゆるコアな音楽ファンだけに向けた音楽というより、シンプルにわかりやすくというのは心がけています。
井上:ショッピングセンターや公民館、道の駅とか大勢の方が集まりやすい場所で演奏するために、ステージングが大きく変わりました。老若男女へ訴えかけられるように、距離感がより近くなったというか、ほどよく角が取れた気がします。その経験はライブハウスでの演奏にも良い影響が出てると思います。
上杉:基本的にはほとんどの会場が初めましてでしたし、はじめは興味本位で来られる方も多いと思うので、パフォーマンスひとつとっても大きく派手にしたり、わかりやすくというのは意識しました。僕はMCでもテレビの中での人物像を期待されるので、そこをライブハウスの時と同じ温度で煽っても、やっぱりなかなか乗り切れないと思うので、あえて遊びをもたせてから一緒に盛り上がれる曲を演奏するような流れにしていました。
堀内:自分達が音楽をやることで、人に聴いて楽しんでもらいたいとか、悩んだり苦しんでいる人を救いたいとか、音楽を始めた頃の初心の気持ちを改めて思い起こしました。

>今年1月には2ndアルバム『KEEP ON STANDING!!』がリリースされましたが、今作はツアーを経て作られたのでしょうか?
長谷川:以前からあった曲もあったんですけど、ほとんどがこのツアー中に書き上げた曲です。上杉が詞曲を作り、僕達はデモを聴いて、ある時は旅館でフレーズを考え、カラオケで入れたものを移動中に確認するような日々でした。活動期間が長いですけど、これほど長期間に渡るツアーに出たのも初めてでしたし、その間にアルバムを作るという経験も初めてだったので、ツアーバンドらしいことをしている実感があって(笑)、すごく良い経験になりました。

>ツアーでの経験や出来事は楽曲に反映されていますか?
上杉:前作に比べると、心の内面というか、精神的なことを歌っている曲が多いですね。ツアー中にいろいろと感情の波や起伏がある中で、その辺も大いに反映されています。でも、結局は今は苦しいけどどんなに道であっても頑張っていこうぜ!と、ポジティブに立ち向かっています。『KEEP ON STANDING!!』は、自分達は北海道中のステージに立ち続けていた中で、そこに集まってくれたみなさんにも譲れなかったり、負けたくないステージはあると思うので、そういう状況に置かれた時の応援歌になれるような曲が集まっています。

>結成当初はどのようなスタイルのバンドだったのでしょうか?
長谷川:その当時はパンクとかロックでしたね。上杉とはもともと幼なじみなんですけど、高校を卒業した時に、誘って組んだ感じです。
上杉:当時の自分の写真を見ると、ほとんどが舌を出して中指立てていました。シド・チェーンも身に付けていましたし(笑)。パンクやロックから、リズム&ブルース、ブルース、ソウルミュージックに入っていくような、いわゆる逆算の入り方でした。当時は3コードの曲ばかりでしたね。
長谷川:一時期、バーでしか演奏しないみたいな時期があって、毎週末バーでカバーを演奏させてもらっていたんですけど、ライブハウスに出始めたのが2004年頃からですね。そこで出会ったバンドがライブハウスの対バンに誘ってくれて、出入りするようになったんですけど、それでもまだ3コードゴリ押しで。
上杉:曲だけじゃなく、パフォーマンスとかも同じタイミングで変わっていったんですけど、対バン形式でステージに出ると、そこでの勝負はライブパフォーマンス以外なくて、どのバンドが一番盛り上がって、一番CDが売れて、一番お客さんが盛り上がったかが判断基準なんですよね。東京からやって来るツアーバンドとも対バンすると、その中で何度もこてんぱんに、手痛い大敗を喫するわけなんですよ。一体何が違うんだろう?お客さんはどうしたら楽しんでくれるんだろう?と試行錯誤していくうちに今の形に辿り着いていきました。
長谷川:それまではライブハウスでも馴れ合いで、お客さんも内輪乗りみたいな感じだったんですけど、東京から対バンが来た時は真剣勝負で、お客さんの目線も違ったんですよね。
上杉:「オレ達はこういうスタイルだ、客なんて関係ねえ!」というのもアリだと思うんですけど、僕達は根っことしてお客さんに楽しんでもらいたいというのがあって、芯の部分は変えませんけど、側の所は大きく変えても構わないバンドかもしれません。

>楽曲制作での影響はありますか?
上杉:意識はしますけど、言いたいことは絶対に変えないです。ただ、言い回しは変えたりするかもしれないですね。こっちの方が伝わりやすいんじゃないか、楽しんでもらえるんじゃないかというのは常に考えています。

>上杉さんのテレビ出演によって、バンドでの変化はありましたか?
長谷川:ありますね。僕達は上京を先に決めていたんです。その後に上杉がひとりで札幌でのレギュラー番組が決まったので、バンドはどうするの?という話し合いはかなりしました。その頃は、札幌で認知されていくのにあわせてタレントとしてのポジションを築き上げないといけないですし、東京では当然知名度ゼロからバンドマンとしての自分を築き上げなければいけませんから、本人は二足のわらじで大変だったと思いますし、そのギャップに苦しんでいたかもしれないですね。その中で出来た曲が、今回のアルバムの「俺の生活」です。
上杉:補足すると、東京はバンドをフラットに見てくれるんですけど、北海道こそ知名度がある分、絶対音楽で上がっていかないとっていう葛藤の方がありました。こんな衣装を着て出てきたから、僕が視聴者でもおちゃらけて感じられたと思うんですけど、だからこそこんな格好いいバンドなんだぜ!というのを、自分達の力で北海道中に知らせたい気持ちは強かったです。

>タレント活動はあくまでバンド活動の一貫なのでしょうか?
上杉、そうですね、やっぱりバンドがなければテレビの仕事はしていないですし、「バンドを辞めてテレビの仕事をしないか?」と誘われていたら絶対にお断りしていました。

>司会の座を狙っていたりはされていませんか(笑)?
上杉:狙ったりもしてますけど(笑)、もともとはテレビに出たいと思っていたわけではないですし、むしろ俗世と離れたものにこそ格好いいものがあると考えていた人間なんですよ。だから最初はテレビで有名になるのが、本当の自分ではないという葛藤も一時期ありましたけど、今はテレビとバンドマンの自分が徐々に近づいてきていますね。番組が終わって数年経っているにも関わらず「専務」と声をかけてくださるのはすごいことで、それを自分じゃないと言い張ることの方が潔くないし、格好悪いので、それもありのままの自分として受け入れた時に、テレビの仕事も音楽の仕事もより貪欲になりましたし、どちらも真剣にやっています。

>バンドとイメージとのギャップを感じられることはありますか?
長谷川:衣装的にそう見られることもありますけど、それは音楽を聴いてもらえばわかってもらえるはずです。
上杉:大阪でライブをやった時に、地元メディアの方達とお話した時に、「衣装を着ていると、本気なのかどうなのかわかりにくい。そこをはっきりしないと伝わりにくいかもよ」と忠告を受けたことがあって、それほど衣装の印象や先入観が強いんだなと改めて実感させられました。70年代のソウルミュージックとかファンクには、裸に鎖だけぶらさげているようなアイザック・ヘイズとかがいたりして、僕は真剣に格好いいと思うわけですよ。でも、日本人でそれをいきなりやっても、ふざけているのかわからないのは確かに理解できるんですよ。だけど、僕達は大真面目に今の衣装を着ていますし、この衣装こそ我々のアイデンティティのひとつなんです。逆に今時こんな衣装を着ているバンドは他にいないと思うんですよね。

>バンドのメンバーは正直なところ、衣装をどう感じられていますか?
堀内:僕達は本気で全員格好いいと思ってます。
井上:自分達でオーダーしたので、納品された時に速攻で袖を通しました。よっしゃー!って。
長谷川:一種のマインドコントロールかもしれないんですけど、ひとつ前に赤い衣装着ていて、それも世間一般的にはダサいソウルスーツだったんですけど、着ているうちにこんな衣装を着ているバンドは他にいないなとだんだん思い始めてくるんですよね。この緑の衣装に関しては、めちゃくちゃ格好いいと思っていますし、これでポールタウンを全然歩けますよ(笑)。今になっては、黒のスーツだと逆に照れますね。
上杉:バンドマン美学ですよね。他のバンドと並ぶ中で、我々が衣装をバリッと着てバチーンときまっているとどうよ?って感覚があるわけですよ。オレ達格好いいだろ?みたいな。

>では最後に、今後の展開について聞かせてください。
長谷川:メジャーデビューしてからすぐ、市町村ツアーで北海道に引きこもったんですよね(笑)。でも、僕達は自分の目で見て、肌で感じながら、北海道全市町村から後押しをもらえたので、これから改めて全国へ向けて頑張ります。
上杉:僕達は今、メジャーでやらせていただいていますけど、デビューまで13年もかかっているので、地べたを這うというか、そういう雑草魂はずっと持ち続けています。いつか自分の本業の音楽で大成することが、北海道のみなさまへの恩返しになると思うので、今年は全国を舞台に、真っ向勝負しながら階段を一段一段駆け上がっていきます!



2ndアルバム『KEEP ON STANDING!!』
《初回限定盤》 CD+DVD
VPCC-80672 / ¥3,000(税別)
《通常盤》CDのみ
VPCC-81831 / ¥2,500(税別)


【THE TON-UP MOTORS】
上杉周大(Vo)、井上仁志(Gt)、長谷川雄一(Ba)、堀内俊聡(Dr)。2000年、結成。2013年12月、アルバム『THE TON-UP MOTORS』をリリースし、結成13年目にしてメジャーデビューを果たす。2014年4月より、故郷北海道の全市町村を巡る「北海道179市町村ツアー」を開始。同年12月、『ZEPP SAPPORO』でのツアーファイナルを行う。上杉はテレビやCM、ラジオなどにも出演するなど、音楽以外でも幅広い活動を行っている。
オフィシャルサイト:http://www.theton-upmotors.com



text:Pilot Publishing
February,2015




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