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Guest 北海道を訪れた今を輝くゲストのスペシャルインタビュー


The SALOVERS


2008年に高校の同級生で結成された4人組バンド“The SALOVERS”。2009年に10代限定の音楽フェス『閃光ライオット』で審査員特別賞を受賞し、翌2010年には新人アーティストの登竜門『FUJI ROCK FESTIVAL』「ROOKIE A GO-GO」に出演。瞬く間に新世代ロックバンドの寵児として躍り出た彼らが、今年9月5日にリリースされた『珍文完聞 -Chin Bung Kan Bung-』で満を持してメジャーデビューを果たす。静かなる闘志と強い意思を宿らせて、鋭く射抜く真っ直ぐな眼光から、僕らは目を逸らすことができないー。





インタビュー(September,2012)
古舘 佑太郎 / “The SALOVERS”(Vo&Gt)


>まずは北海道の印象から聞かせてください。

昨年、バンドでライブに来たのが初めてです。僕は松山千春さんが大好きで、作品をお聴きしてものすごく感動していて、それもあって北海道はずっと行ってみたい場所だったし、大地が広大で心がすがすがしい気持ちになれる場所というイメージがありました。僕は走るのが好きで、地方を仕事でまわっていると忙しくて走れなかったりするんですけど、札幌に来た時だけは毎回走っています。ホテルへ着くとシューズに履き替えて走り出すんですけど、いつもその折り返し地点がテレビ塔なんです。走りながら街並みを眺めていると、やっぱり空間が広いというか、余裕がありますよね。僕は東京のぎゅうぎゅうした中で育ってきているので、それは感覚的なことではなく、明らかに目に見えて違います。

>ライブをされてみての感想はいかがでしたか?
北海道の方は根底に音楽が根付いているというか、音楽を求めている姿勢がすごく伝わってきます。北海道出身のアーティストの方々はみなさん、音楽に対する想いが強くて、壁が無いように感じます。僕らのライブでも最初に来た時は初めましてだったし、僕らもお客さんも始めのうちは人見知りもしましたけど、音楽を通して少しづつ繋がれているのを強く感じました。

>今年8月には【RISING SUN ROCK FESTIVAL in EZO】にも出演されました。
裏ではいろんなミュージシャンの方が出演されていたんですけど、集まってくれたお客さんがものすごく盛り上がってくれて、僕らの曲で手を上げてくれたりしているのを見た時に、北海道でも僕らの輪をもっともっと広げられる気がしました。それはやっぱりみんなの音楽に対する想いが強いということなんですよね。

>9月にはメジャーデビューアルバム『珍文完聞 -Chin Bung Kan Bung-』がリリースされましたが、今作の制作はいつ頃から始められたのですか?
昨年の12月からですね。前の作品も多少収録されているので、ゼロからというわけではないですけど。

>全体を通してアジア的な雰囲気が感じられますが、当初から意図されていたのですか?
今作は本当に自然と出来ていったものなので、特に意図的に固めようとは考えていなかったし、そうしようとしていたらもっと違う曲も入ってきていたと思います。すべてが偶然と偶然で、常にに作品と自分とを追って変化しながら、その時々で考えていたことや感じたことが詰まっています。今回は頭に浮かんだことは全部使おうと考えていたので、良い意味でアルバムや先のことを考えず、ポンポンと曲を作っていました。それをグシャッとひとつに落とし込んだ感じです。

>作詞・作曲も御自身で担当されてますが、楽曲はどのように浮かんでくるのですか?
曲によります。曲毎で全然違いますけど、メロディと詞が同時だったり、詞が後だったり、どうやって生まれているのかは自分自身でもわからないですね。考えても出てこないので、ひらめきは大きいです。例えば、「オールド台湾」は“オールド台湾”という言葉が最初に浮かんで、それを元に曲を作りました。

>一曲一曲にストーリー性や背景が描かれていますが、最初からイメージとして浮かんでいるのですか?
それは今回大事にしました。ちゃんと辻褄があって、ひとつのストーリーを持った作品にしたいと考えていたので、四方八方に飛び散らないようにしながら、一曲一曲を絞り出していきました。奥行きはアレンジとかでも出せるんですけど、ストーリー性があると言ったのも、今回は歌詞を重視していて、歌詞で奥行きを作ったからです。それは唯一、自分の中でやりたいこととして実践しました。

>社会を皮肉るような表現も含まれていますが、意識をされているのでしょうか?
多分、その時がそういうモードだったんですね。思ってしまったからなんでしょうけど、僕は綺麗事が嫌いなので、みんなが分かっているのに言わないことをついつい言いたくなってしまうことはあります。

>メジャーデビューをされて、心境や環境の変化はありましたか?
制作中は全然ありませんでしたし、どうせ一緒だろうと思っていて、9月5日のリリース日も普通に過ごしていたんですけど、その日から自分の中では多少変わりましたね。自分から前へ出たいとか近づきたいという、以前からそういう気持ちはあったんですけど、よりこちらから一歩踏み出そうという気持ちになりました。誤解されたくないというか、本当の自分を知ってもらいたいというのが大きいかもしれないです。僕の中では本当の自分を知ってもらうことが、みなさんから評価されることだと思っているので。それが、何故かはわからないし、偶然かもしれないんですけど、いろいろと積み重なって9月5日から気持ちに変化がありました。昔から変わらないですけどバンドはめちゃくちゃ多いし、メジャーデビューなんてそんなに珍しいことでもないですけど、今はいろんな情報があり過ぎてすぐに埋もれてしまうので、そうならないように自分達のことを本気になって伝えていきたいと思っています。

>楽曲での表現は、自分を知ってもらいたいという表れなのでしょうか?
そうですね。「愛しておくれ」とかは特にそうです。

>すべてをさらけ出すのは難しいことだと思います。
もちろんありますけど、そこが僕の中にゴールとしてあります。インディーズでは隠したままで、例えばバラードはほとんど入れていませんし、人に誤解をされないようにシビアに考え過ぎていたんですけど、それだと自分達のことがあまり伝わっていない気がしたし、ここまで来たら後戻りする方が面倒なので(笑)、音楽は人間がやっているものだし、人間性を伝えていかないといけないと思います。出し切るというのはすごく難しいことですけど、まだ言いたいことを言えていない部分があるので、今後はそういうのも伝えていきたいですね。

>まだまだありそうですね!
ある…と信じたいです(笑)。

>今作の制作を通じて特に印象に残っていることはありますか?
大分、ふざけたなと思いますね。楽しかったです。例えば、「オールド台湾」は「アチョー!」と言いまくったり、「チンギスハンとヘップバーン」ではメンバーを笑わせたりとか。今まで辛いことばかりしてきたんですけど、みんな辛いんだから自分達は楽しもうという気持ちに初めてなれた作品ですね。

>今まで追いこんでいたものが吹っ切れた?
もともとそれが本当の自分だった気がするんです。大変なことやしんどいことがたくさんありましたけど、その中で笑えることもあって、みんなが爆笑している風景がちゃんと作品に表れているのが良いですね。

>今作を引っさげての全国ツアーを控えていますが、ライブはどのように捉えられていますか?
ライブも、というかライブが大きいですね。もちろんアルバムも大きいですけど、そんなポンポン出せるものではないし、でもライブはすぐにできて、今も月に一回はしているので、今はそれがお客さんと繋がれる一番大きな場所です。ステージって人より高いと所に立っているわけじゃないですか。人より高い所に立つというのはそう簡単なことじゃないし、ちょっとやそっとじゃ人の上に立ってはいけないんですよね。ましてや、お金を頂くなんて大変なことですよ。それはライブをやっていくうちに理解できるようになりました。まだまだ未熟で、未だに完成されていませんけど、少しずつ掴み始めることができました。

>ライブで伝えたいこととは何ですか?
それはアルバムと一緒ですね。アルバムではこういうこと言って、ライブではこういうこと言ってというのは無いです。今回のツアーでは『珍文完聞 -Chin Bung Kan Bung-』を伝えたいですし、やっぱり生ならではの空気や一体感は大事にしたいですね。自分のことで変ですけど、未だに自分の中のまだ見せられていない一面があるので、本当の自分を知ってもらうことがゴールとするならば、ゴールには全然辿り着けていないし、まだ開けていない引き出しがあるので、それを全て出し切りたいですね。

>最後に、今後の展開について聞かせてください。
全く見えていないですけど、見えないからこそ楽しんでやりたいと思います。次にどうなっていくかを口で言うのは簡単ですけど、先のことはわからないので、逆にそれを楽しみながら面白いことをやっていきたいです。


メジャーデビューアルバム『珍文完聞 -Chin Bung Kan Bung-』
TOCT-29061 / ¥2,800(tax in)


【The SALOVERS 秋集ワンマンツアー2012 サラバーズ珍道中~あきあきするよ~】
10月8日(月・祝)@札幌『BESSIE HALL』(北海道札幌市中央区南4条西6丁目 晴ればれビル-B1F)


The SALOVERS
2008年、高校の同級生だった古舘佑太郎(Vo& Gt)、藤川雄太(Dr)、藤井清也(G)、小林亮平(B)の4人で結成。2009年、“SCHOOL OF LOCK!”主催の夏フェス【閃光ライオット2009】出場、審査員特別賞受賞。2010年、【FUJI ROCK FESTIVAL】「ROOKIE A GOGO」に出演。同年9月に1stアルバム『C‘mon Dresden』をリリース。2011年に2ndアルバム『バンドを始めた頃』、2012年にはプレデビューアルバム「いざ、サラバーズ!」をリリース。2012年9月、アルバム『珍文完聞 -Chin Bung Kan Bung-』でメジャーデビュー。
オフィシャルサイト http://thesalovers.com



text Pilot Publishing / photograph Syouta Tanaka
September,2012



RSS Comments One Tweet

  1. Comment by U子 (@okappa_san) 2012年10月12日 @ 10:40 AM

    このふるくんの写真、狸小路7丁目だ!!http://t.co/C9S8tXl9



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