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Guest 北海道を訪れた今を輝くゲストのスペシャルインタビュー

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世界の終わり


次世代バンドとして絶大な支持を集める世界の終わりが、待望の1stアルバム『EARTH』を手に北海道初登場!

<LIVE REPORT>
2010年6月4日@『sound Lab mole』
超満員に埋め尽くされた会場で、登場を待ちわびるオーディエンスがざわめき始める。突如、漂う緊張感。彼らがステージへ降り立った瞬間、会場の空気が変わるのを肌で感じる。優しさと切なさが共存した藤崎のイントロ。最後の一音を奏で終えた僅かな間の後、膨張したテンションが一気に爆発する。深瀬の純粋で無垢な歌声が響くと同時に、これまでに誰も体験したことのない未知の世界が広がった。彼らは今現在持てる全てを発し、オーディエンスもまた共有し得た何かを伝えようと、会場全体がひとつになる。アンコール後も熱気は冷めることなく、拍手は鳴り止まない。名残惜しさを残しつつ、大盛況の内に幕を閉じた北海道初ライブとなった。





インタビュー(July,2010)

>藤崎さんは初めてということですが、久しぶりに北海道へいらした印象はいかがですか?

深瀬 まだ着いたばかりなんですけど、寒いですね。あとお寿司は美味しかったです。海鮮は好きなんですよね。でも、中じん(中島)が生モノを食べられないんですよ。
中島 アレルギーとかではなく、食べられるんですけど…美味しいとは思わないんですよね。今日もせっかく北海道まで来たから挑戦してみたんですよ。サーモンを食べてみて、好きになれるかもと思ったんですけど…。ダメじゃないんですよ。別に食べられるんですけど、自分から進んでは食べない感じです。

>北海道で他に気になっているものや、してみたいことはありますか?
LOVE 夕張の新しいお土産で熊と夕張メロンが一緒になった“メロン熊”が気になっています。マスクメロン柄の熊で、ちょっと気味悪いんですけど…(笑)。絶対に買って帰ります。
深瀬 どうでもいいよ!

>バンドのことについてお伺いさせていただきますが、バンドの結成より先にライブハウスを作られたというのは珍しいですね。結成に至るまでの経緯について聞かせてください。
深瀬 今までいろんな風に話してきたんですけど…最近気がついたのが、ライブハウスを立ち上げてからバンドを組もうという、流れでバンドを組んじゃいましたみたいな雰囲気を出していたんですけど…でも、よく考えたらそうではないんですよね。ずっとバンドをやりたいと中じんと話し合っていたんですけど、メンバー募集をいくらしても集まらなかったんです。今になって振り返ってみると、ふたりのモチベーションに誰も付いてこれなかったのかもしれないですね。ライブハウスを本当に作ってしまうテンションなので、そこまで誰も付いてこれないというか、まず最初にこの話をしている時点で誰も来てくれないんですよね。
中島 なんだろう…エネルギーの違いなんですかね。
深瀬 きっと“怖い”と思われていたと思うんですよね。ふたりだけだとバンドとして成立しないし、仕方がないからライブハウスを作るくらいしか活動できることがなかったんです。メンバーを探すのにもすごく時間を消費してしまうし、スタジオを借り続けるのではお金も足りないので、とりあえずふたりでも完璧にできるように、落ち着いて音楽ができる環境が欲しいという考えだったんです。バンドはまだ始めていなかったんですけど、作曲活動はずっと続けていて、その頃は僕の家で制作していました。そうすると大きい音が出せないので、よく近くにある河原へ行ってヴォーカル録りをしたりしていました。お巡りさんに怪しまれながら…(笑)。

>特に最近は失敗を恐れるあまり、考えを形にするため実際に行動に移される方が少ないように感じます。

深瀬 そういう考えは誰もが持っていると思うんですけど、人生は計画を立てているうちに終ってしまうし、何かしら順番が前後しても動かなくてはいけないから、まずはプライベートスタジオを作ろうという考えだったんですよね。でも、防音とか環境面もしっかり作らなければいけないので、仲間をどんどん増やしていくうちに、みんなで作った方が面白くなって、その流れでライブハウスになっていったんです。その時に手伝ってくれていた仲間の中にいたのが、藤崎とLOVEだったんですよね。だから、バンドのメンバーを見つけようというより、気がついたらそこにいたので、この4人でバンドをやろうと固まっていった感じです。バンドとしては全く機能していなかったし、ライブハウスを作り始めた中で徐々にやりたい方向性が決まっていって、その辺りからですね、世界の終わりと名乗るようになったのは。

>世界の終わりというバンド名もとても印象深いですが、由来について聞かせてください。
深瀬 昔はいろんな意味をつけていたんですけど、意味を持たせ過ぎてしまって、ひとつの意味にとらわれすぎてしまうのが嫌なので、最近は特にないと言い張っているんですけど…その当時はなんとなくそういう雰囲気だったんですよね。

>バンドとしての経験を積んでいく中で決まっていった?
深瀬 その辺もあいまいなんですよ。ライブハウスを作って、その間に演奏もしているんですけど、ほとんど遊びみたいな感じで、バンドというものがどういうものなのかをよく理解していなかったんですよね。バンドをやると言って、練習をしているのか、ゲームをしているのか全然わからないんですよね。オレらはライブもほとんど観たことがなくて、この前夏フェスへ初めて出させていただいたんですけど、フェスを観たのもその時が初めてだったんです。だから、とりあえずギターを持って、マイクを握ったはいいけど、何していいのかわからないところから始まっているんです。世界の終わりと名乗り始めたのも、実はバンドが固まる前なんですよね。中じんは当時ドラムでしたし。
中島 ドラムとベースがいなくて、初代のLOVEがベースをやっていたので、僕がドラムをやることで、いわゆる4人バンドみたいなのが完成したんですよね。最初の頃は何もわからないまま、その形態でコピーをやっていた時期がありました。
深瀬 だから最初からDJがいたわけではないんです。なんやかんやあって今の編成になっていったのが経緯ですね。

>『クラブ・アース』では共同生活をされているそうですね。
藤崎 最近はツアーで東京にいないのと、取材が毎日あるので帰るようにしています。『クラブ・アース』にはお風呂が無いので、お風呂に入らないで写真に写るわけにもいかないですし、あとはスケジュール的にもハードなので、家で寝ないと体力的にもツライのもあって。でも、リリース前まではずっとそこで生活していました。昔はわたしがご飯をずっと作っていたんですけど、レコーディングをしている時にLOVEに代わってもらったら、わたしよりも上手かったんですよ(笑)。男子に絶賛されて、それからLOVEが作っています。

>共同生活をされていると、お互いの理解もより深まってくるのではないですか?
深瀬 もう「あれとって、これとって、あれをああして」でわかりますね。
中島 「それって、あれだよね」で。
深瀬 「そう、そう、そう」でわかります(笑)。

>お互いに違う一面も見えてくるのではないかと思うのですが、新しい発見はありましたか?
深瀬 ないですね。さすがに昔からの友達なので、もはやないです。
中島 でも、彩織ちゃんがあんなに部屋の片付けをしない人だとは思わなかった(笑)。
深瀬 それはね、中じんとLOVEが片付けまくって甘やかすから、ふたりの責任でもあるんだよ。
藤崎 そうだよ。だって、わたしの部屋はきれいだもん。こないだラジオで自分でも言ってたじゃん、「片付けたい」って。
中島 いや、それは番組を盛り上げるための話で…。
藤崎 「片付けたい」って言ってたから、みんなのために散らかしてあげてるの(笑)。
中島 とんでもないですね(笑)!
深瀬 でも、中じんは意外とおおざっば。
藤崎 中じんは寝てる時にすごい大きい声で寝言を言う。
中島 全く憶えてないですけど(笑)。
深瀬 LOVEは変わらなくない?
中島 変わらないね。
深瀬 オレは?
中島 フタを閉めないよね、いろんなものの。
藤崎 コンタクトのフタを閉めない。
中島 ケチャップとかのフタも閉めない。フタが閉まっていないからぶちまけるよね。
深瀬 片付けないの、オレと彩織ちゃんくらいだね。でも、ちらかさないようにしているよ。

>そして、待望のファースト・アルバム『アース』がついにリリースされましたが、全体を通してのコンセプトはありますか?
藤崎 コンセプトを考えて作っているのではなく、7曲完成した段階でアルバムを録ろうという話になっていて、その7曲を収録しただけなんですよね。その段階で8曲あったら8曲録っていたかもしれないですし。その時に作った7曲に『アース』という名前を付けたんです。
深瀬 オレ達がこの先コンセプトに沿ったアルバムを作ることは無いですね。でも、強いて言うなら、曲全体がオレたちの軌跡であることをすごく大事にしています。曲順もきちんとあって、例えば「虹色の戦争」の後には必ず「世界平和」が並ばなくてはいけないという順番があるんですよ。例えば、「虹色の戦争」で「貴方が殺した命の歌が」と偉そうなことを言った後に、「世界平和」で「普通に異常な僕らは正解を主張して謳おうとする。間違いなんて化け物は本当は存在していない」と「虹色の戦争」を否定するような曲になっているので、その後にいろんなものが発展していけばと考えたんですよね。「死の魔法」という曲は完結していなくて、続編もあるんです。だから、順番が前後してしまうと、全部わからなくなってしまうんです。そうやって順を追いながらいろんなことを考えて言葉にしているので、曲順はすごく意識しています。嘘をつかず、自分の言葉に責任を持つということで、ひとつひとつ考えながら、着実に前へ進んで答えを出してきたことだと思います。『アース』には特にコンセプトがありませんけど、全体として嘘をつかないというのはあります。

>自分達の素直な気持ちを表現されている?
深瀬 素直というか…、みんな素直だけれど、嘘ついている人もいますよね、嘘をついていることに気づいていない。
藤崎 深瀬が言っていて、バンドとしてのコンセプトでもあると思うんですけど、自分に嘘をつかないということだと思うんですよね。自分に嘘をつかないというのはすごく難しくて、気がつかないことがすごく多いんです。例えば、私はバンドがやりたいと言っていても、そんなにやりたくない気持ちもどこかに混じっていて、それにだんだん気がつかなくなってくるんですよ。意固地になってしまったり、プライドが邪魔をしてしまったり。
深瀬 嘘をつかないということは、素直だったり、純粋であったりすると思うんですよね。小学校の頃、ボール遊びをしている時に、弾みでボールが花壇へ転がってしまったんです。そしたら女子に「花にも命があるんだから、踏んだらダメ!」と注意されたんですけど、その子の足元には雑草を踏まれていることに気がついたんです。花は大事にされていて、突き詰めていくと「命があるから」という答えに辿りつくのかもしれませんけど、その子にとって雑草は踏んだり、抜いたりされても良しとされていることには、純粋に見えても、どこかに嘘があるように感じたんです。その子が言っていることは、“綺麗なものは大事にしなくてはいけない”ということだと思うんですね。自分でも気がついていないというか、先生や大人に教えてもらったことを暗記しているだけで、オレはそれを純粋とも素直とも思えないんです。自分達が踏んでいるものに対してもきちんと気がついていたいし、その中で感じたことを正直に伝えていきたいんです。例えば、 “戦争で死んだ人の数だけ花を手向けましょう”というのは、花の視点で考えると、いちいち花が人の死んだ分だけ犠牲になっていたら大変だと思うんです。「花が綺麗だから仕方がない」と言われたらそれまでなんですけど…オレはそうしたくないです。そうやって、人間だけの世界平和だとかを叫ばれると、そういうものに対しての矛盾を訴えかけたい…というより、オレが普通に感じたことをみんながどう感じるのかを訊いてみたいんです。オレが中じんに「どう?」って尋ねるのと同じ感覚で、世界人類の反応を見てみたい興味があるんですよね。だから、オレらの曲を聴いて、もっと突っ込んできて欲しい。突っ込みを求めていますね。


世界の終わり
2007年、深瀬慧・中島真一・藤崎彩織・DJ LOVEの4人により結成されたロックバンド。自分達の手で、ゼロから作り上げたライヴハウス『club EARTH』を拠点に活動を行う。2010年2月、ファーストシングル「幻の命」をタワーレコード2ヶ月限定でリリース。そして、2010年4月、待望のファーストアルバム『EARTH』をリリース。
website http://www.sekainoowari.jp



text Pilot Publishing/photograph Kei Furuse(studio k2)
March,2010



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