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Guest 北海道を訪れた今を輝くゲストのスペシャルインタビュー

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影山 ヒロノブ


アニソン界の長老・影山ヒロノブが感じる、アニメとロックと北海道。

今や世界各国で愛され、熱狂的な支持を集める、“クール・ジャパン”アニメ。当時まだ世間一般への認知が低く、先入観と偏見に満ちた過渡期から、永年に渡りアニメソングを歌い、支え続けてきたアニソン界の“長老”こと影山ヒロノブが、ここ北海道で想うこと。明るく前向きな表情に秘められた言葉の重みの真意とは。伝説のバンド・レイジーを解散後、挫折や苦難を乗り越え、確固たる存在を築き上げてきた心境、130万枚もの大セールスを記録した誰もが知るあの名曲との出会い、そして飛躍的な進化を遂げるアニソン界の現状について尋ねた。






Interview(March,2010)

>北海道へは毎年いらしているそうですが、初めて来道されたのはいつ頃でしたか?

多分…33年前です。僕が16か17歳の頃で、当時結成していたレイジーというバンドで来ました。そのバンドが解散してアニソンと出会うまで、ちょっと苦しい時代があったんですけど、その頃によく小さなライブハウスをまわるツアーをしていたんです。北見の『夕焼けまつり』、小樽の『海猫屋』、旭川の『ブーフーウー』、そういうところをずっとまわっていましたね。釧路の某ライブハウスに呼んでいただいたことがあって、いざ会場へ来てみると普通の家だったのには驚きました。客席が居間で、ステージが押し入れの中みたいなところで、僕の前に敷居があって…それはすごくよく覚えています。あと、ライブで帯広へ来たら、その会場が無くなっていたことがあります。仕方ないのでみんなで飲んで帰りました(笑)。

>地方でよく飲みに出られたりされるんですか?
ボーカルなのでツアー中はあんまり行きませんけど、イベントとかで呼んでもらった時は、打ち上げなんかには連れて行ってもらっていますね。

>本当に各地をくまなくまわられていたんですね。地名や店名も細かく覚えていらっしゃいます。
当時は僕もハンドルを握っていましたから、結構覚えています。その頃は本当に大変な時代でしたので、なんとか続けていこうと、年間120本くらい、バンドのメンバーと一緒に小さなライブハウスを楽器車でまわっていました。それくらいしかできることがなかったんですよね。

>中でも特に印象に残っている北海道でのエピソードを教えてください。
10年くらい前に、網走の川で開催されているお祭りへ呼んでいただいたんですけど、岸辺に観客のみなさんがいらっしゃって、川の真ん中に浮かべられたステージで歌ったことがあります。出演者が僕と、ジャムプロジェクトも一緒にやっている遠藤と、もうひとりのゲストがカルメン・マキさんでした。終了後に地元の実行委員の方々と豪華な海鮮で打ち上げを開いていただいたんですけど、漁師さんが入ってきて「今日穫れたので食べてください!」って、大きな四角いタッパにウニをすりきりいっぱい入れて差し入れてくれたんですよ。ありがたくスプーンですくって食べようとしたら、「何やっているんですか、ゴクゴク飲めばいいでしょう!」って言われて、タッパの角から飲んだことがあります。

>ウニが飲み物だなんて、道民でも聞いたことないです(笑)。
いまだに遠藤と「忘れられないよね」って話をしています。東京へ帰って「北海道の人はみんな、ウニを飲んでいるから。やっぱり本場は違うぜ!」ってみんなに話しました(笑)。あとはラーメンが好きなので、いろんな有名店へ連れていっていただくんですけど、北海道には美味しいラーメン屋がたくさんありますよね。2年くらい前に旭川へ呼んでいただいた時に、野外で各地のラーメン屋が一堂に会したイベントが開催されていたんですけど、そこで食べた真っ黒いスープのラーメンがすごく美味しかったですね。こんな色のスープで。(テーブルを指差しながら)

>テーブルを指さされるスープもスープですごいですけど、盛ってますよね?話術が芸人さん並みに達者です(笑)。
本当ですって!さっきのウニの話から嘘くさくなってますけど…(笑)。あと、下北沢にスープカレーの店『マジックスパイス』があるんですけど、ほぼ週1回くらいのペースで通っています。どんどん辛さを上げていって、“虚空”というメニューの上の“虚空150”まで来たんですけど、下北沢にはあと“虚空200”と“アクエリアス”というのがまだあるらしくて、今年中には辿り着きたいです。すごい辛いんですけど、旨いんです。嫌な辛さじゃないんですよね。

>日本のみならず、世界でアニメソングへの注目が高まっていますが、実際にライブをされてみて反応はいかがでしたか?
世界も日本も同じで、アニソンはオタクと呼ばれる人たちが聴くものだろうという世間の目が強かったんですけど、ここ10年くらい、そういう偏見や垣根がどんどん無くなってきていますね。6年前から『アニメロサマーライブ』というイベントが始まったんですけど、毎年信じられないくらいキャパが上がっていくんです。一番最初に開催された時は1万人くらいだったんですけど、去年は埼玉スーパーアリーナで1日2万5,000人の2デイズがソールドアウトでした。そのコンサートは4時間くらい続くんですけど、ファンは最初から最後までオールスタンディングで、すべてのアーティストと一緒になって唄ってくれて、本当にみんなが支えてくれているのを感じます。あと、僕はレイジーから含めると33年間歌わせていただいているんですけど、学園祭へ呼んでいただくことなんてまずありませんでした。でも、嬉しいことに数年くらい前から、秋になると学園祭のスケジュールが入ってくるんです。学園祭はカラオケを2曲くらい歌って、あとはトークライブで質問にお答えしたりするんですけど、みなさんがアニソンのことを真剣に考えてくれて、真面目に愛してくれているのが伝わってくるんですよね。学生から社会人になると大変なことがたくさんあると思いますけど、今はオタクとは呼べない若い人たちが、自分達を元気にさせる応援歌としてアニソンを聴いてくれているので、また時代に合っているのかもしれませんね。

>確かにアニソンには元気にさせてくれる力があります。自身にとってアニソンの魅力とは?
アニメもアニメソングも一緒ですけど、暗いアニメだろうが明るいアニメだろうが、少女向けだろうがスポコンだろうが、プロセスはそれぞれありますけど、根底にあるのは最後になんとかして自分の夢を叶えるというポジティブなアニメの精神だと思うんですよね。どれだけ元気に世の中へ向かっていけるか、そのためにもアニメは必要なんです。その応援歌として作られたアニメソングも同じで、その番組を観た時にみんなへガッツを与えられる曲になってくれると最高ですし、ファンから「いつも会社へ行く時に聴きながら元気をもらっています」と言っていただけたりすると、頑張ってきて良かったと思います。

>アニメソングをとりまく状況も変化してきていると思いますが、近年のアニメソング事情についてどのようにとらえられていますか?
昔とはかなり形が違ってきていますよね。ジャムプロジェクトへ発注があった時に「コレを入れて欲しい」というリクエストをいただくこともあるので、昔風にロボットアニメの技の名前を入れたりするとすごく盛り上がります。それはそれで残っていくと思うんですけど、一方で変わってきたと感じるのは、アーティスト系のアニソンがすごく増えましたね。僕らから上の先輩はアニメソングを歌う歌手としてシーンを引っ張ってこられてきたんですけど、最近増えているのは曲も歌詞もコンサートも自分達のオリジナリティのある、自分達の世界でファン層を広げていくという…言ってみればJポップと同じなんですけど、そういうアーティストが増えたと思います。さっきお話した『アニメロサマーライブ』でもすごく個性的なアーティストが多くて、例えば大槻ケンヂさんはそのはしりだと思うんです。アニソンもやるし、ロックもやるし、アホみたいなことも大真面目にやられていますよね(笑)。あと、アリプロジェクトの宝野アリカちゃんは、ドラァグクイーンを踊らせながらライブをされていたり、すごく面白いです。他にもサウンドホライズンや妖精帝國とか様々なアーティストが活躍されていますけど、ジャムプロジェクトも僕たちにしかできないことは何かを考えざる得ない時代になってきています。

>もともとロックミュージシャンとして活動されてきて、アニメソングを唄われることに対してのとまどいはありませんでしたか?
当時は年間120本くらいライブばかりやっていましたが、どちらかというとライブしかやることがなくて落ち込んでいた時期だったんです。その時に、レコード会社の方で、アニソンづくりで有名な厳しいディレクターの方から声を掛けていただいたのがきっかけだったんですけど、とまどうより世の中が全然振り向いてもらえなくなった時期に、その方が…しかもレコーディングの仕事として依頼していただけたことに感動して、まだオレに何かを求めてくれた人がいてくれたんだと、めちゃめちゃ張り切ってやりました(笑)。ただ…レコーディングは散々で、やっぱり初めてだったので、「なんだ、キミの日本語は!」と、もうボロクソに言われて、初日はとりあえず帰らされました。要するに出直しです。でも、その方が『聖闘士星矢』とか、いろんな主題歌を唄うチャンスを与えていただいて、気がついてみるともう25年アニソン畑で、約800曲くらいレコーディングしています(笑)。始めの頃はよく直されたので、やっぱり自分達が考えているロックと違うと思っていたんですけど、今になってみるとアニソンの中でもすごく自由にロックをやらせていただいていたんですよね。アニソンということで、もちろん歌詞を書いたりする時は意識していますし、すごく楽しみながら制作させていただいていますけど、サウンドや歌い方は良い意味でやりたい放題自由にやらせていただいています。25年の間にすごく住み心地の良い世界になりましたね。

>少しづつ努力を積み上げられたことが、結果として自分の居場所として築かれたんですね。
そうかもしれないです。『ドラゴンボールZ』がとにかく大きかったので、影山というのは元気があって、ロックな感じだろうと知っていただけるようになりました。

>89年に発表された『ドラゴンボールZ』のオープニングテーマ『CHA-LA HEAD-CHA-LA』は自身の代表曲ですが、最初に出会った印象はいかがでしたか?
びっくりしました。あの『CHA-LA HEAD-CHA-LA』という曲は、最初にメロディーだけあって、ディレクターから「まだ歌詞がないけど、デモ作りから協力して欲しい」とお願いされて、最初はサビも「ラ〜ラ〜・ラ〜ラ〜ラ〜」と“ラ”で歌っていたんです。最初はアメリカンロックみたいで格好いいじゃん!みたいに話していたんですけど、いざレコーディング本番の時に歌詞をいただくと、“CHA-LA HEAD-CHA-LA”って書いてあったんです。え〜!もしかしてお笑い?みたいな(笑)。でも、忘れもしないんですけど、初めて歌った時にすごく気持ちが良かったんです。歌詞をつけて唄った時に手応えを感じましたね。ディレクターもしてやったりな顔をしていて(笑)。放送の第一回をテレビで観て、オープニングの画像と自分の歌が合っていた時に、後にも先にもないくらい感動しました。

>現在精力的に活動を続けられているジャムプロジェクトは、水木一郎さんの呼びかけで結成されたそうですね。
そうですね。兄貴はこの世界ではシンボリックなので、ジャムプロジェクト旗揚げの時は“魂の支柱”というか、兄貴がいてくれないと、オレたちも宣言できない感じだったんですよね。今は非常勤という感じになったんですけど、変わらず応援してくれていますよ。

>自身にとって水木一郎さんはどのような存在ですか?
最近はテレビとかにもよく出ていて、本当にあのままなんですけど、でもアニソンを語らせたら、すごく大真面目にアニソンのことを考えていますね。

>最後に読者へメッセージをお願いします。
ジャムプロジェクトとしては去年初めて札幌でライブをさせていただいたんですけど、オープニングからすごいノリで、そのまま3時間一気にいけてしまうファンの方々で、逆にオレたちの方が力をもらえるくらいパワフルで感動しました。これからもみんなで楽しめてノレる音楽をやっていきますので、応援よろしくお願いします!


影山 ヒロノブ
1977年、Jロックバンド・LAZYのボーカルとしてデビュー。1985年、日本コロムビアへ移籍後にアニメ・特撮ソングに出会い、『電撃戦隊チェンジマン』『宇宙船サジタリウス』をはじめとする数々のアニメソングを歌い、中でもフジテレビ系アニメ『ドラゴンボールZ』主題歌「CHA-LA HEAD-CHA-LA」や、テレビ朝日系アニメ『聖闘士星矢』主題歌「ソルジャードリーム~聖闘士神話」で、日本のアニソン界を代表する地位を確立。(「CHA-LA HEAD-CHA-LA」はシングル、アルバムなどを併せた累計売り上げ130万枚を超すヒットとなった)現在では作詞、作曲、編曲、プロデュースをこなす“アニソンアーティスト”として数々のプロジェクトに参加。2000年、JAM Projectを結成(第1期メンバーは水木一郎、影山ヒロノブ、松本梨香、さかもとえいぞう、遠藤正明)(※現在は影山ヒロノブ、遠藤正明、きただにひろし、奥井雅美、福山芳樹)。この頃から自身のライフワークとして“アコースティックスタイル”の“影山ヒロノブ”として、全国津々浦々までその音楽を届けている。また、海外での人気も高く、現在までに訪問した国は、アジア、北中南米、ヨーロッパ併せて12カ国に上る。2003年からは毎年世界各地5カ国以上からオファーを受け、2008年にはJAM Projectを率いて日本のアーティストとしては数少ない“ワールドツアー”(世界8カ国10都市)を敢行した。現在までにレコーディングした楽曲は800曲を超える。
website http://www.airblanca.com



text Pilot Publishing/photograph Kei Furuse(studio k2)
March,2010



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