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Guest 北海道を訪れた今を輝くゲストのスペシャルインタビュー


ミュージシャン【JiLL-Decoy association】


昨年、結成10周年を迎えたスリーピースのジャズバンド【JiLL-Decoy association】が、今年9月に5枚目となるフルアルバム 『ジルデコ5』をリリース。ボーカル・chihiRoが30代女子のリアルを歌詞として赤裸々に綴る今作は、成熟しながらなお挑戦し続けるバンドが向かう今後の方向性と、さらなる可能性を存分に感じさせる意欲作となっている。





インタビュー(August,2013)
【JiLL-Decoy association】
chihiRo(Vo)
kubota(G)
towada(Dr)


>まずは、北海道の印象について聞かせてください。

chihiRo:7年前、デビューしてすぐの頃に札幌へ来させていただいたのですが、それまで自分にとって全くゆかりのなかった土地で自分達をアピールできるのが刺激的でしたし、希望に満ち溢れたわくわくした気持ちでいっぱいでした。札幌へ来ると毎回、その当時の気持ちをいつも思い出します。
kubota:デビューしてすぐ何度か呼んでいただいて、次に来られたのが昨年の大晦日のカウントダウンだったんです。6年くらい開いてしまって、その間一度も来られなかったのですが、久しぶりに来て、僕達を知ってくれている人なんてもういないだろうと思っていたら、相変わらず覚えていて、「待ってたよ!」と声をかけてくれる方々がいてくれたのは本当に感激しました。

>今年9月には5thアルバム 『ジルデコ5』がリリースされますが、楽曲はどのように作られていますか?
chihiRo:曲作りがライフワークになっているタイプではなく、締め切りが迫らないとなかなか作れないのですが(笑)、kubotaがメロディーやコードを作って、それを私が歌いやすいように変えていくことが多いです。私が歌詞を書くので、まずはテーマをリストアップして、それをもとにみんなで話し合いを重ねながら作っていきます。今作に関しては、歌いたいテーマが先にあって、それに合わせて曲調を組み立てていきました。

>テーマに沿って作曲をされる作業はいかがでしたか?
kubota:難しかったですね。今までは僕が思い浮かんだ時に曲を作って、それに詞をつけてもらったり、メロを変えてもらうことが多かったのですが、今作はテーマが先に設けられていたので、正直最初はとまどいもありました。今回、僕は曲を作る時に作家に徹したというか、テーマが一番映えるサウンドやメロディーを探していく作業に時間を掛けました。すぐに出来た曲もあれば、逆に全然出てこなくて、どうにか絞り出した曲もあって、最初に縛りのある状態で曲を作るのは難しかったですが、すごくやりがいがありました。

>コンセプトをもとに、作品としてのまとまりを感じます。
chihiRo:コンセプトが先にあったわけではなく、リストアップしていく中で「自分は今、30代の女性を応援したい気持ちが強いんだな」と感じて、自然とまとまっていきました。

>歌詞では女性のリアルなや感情が描かれています。
chihiRo:ここまでリアルに書く必要があるのか、自分でも悩みましたが、飾らない言葉で書いて、それがまっすぐ伝わるのなら、それが一番良い気がしました。実際に、自分の近くにいるシングルマザーや婚約破棄になってヘコんでる友達へ向けて書いているのですが、女性であればどこか共感できる部分も多いと思います。

>昨年、結成10周年を迎えられましたが、振り返られて現在どのような心境ですか?
chihiRo:わりと飽きっぽい性格で、10年も続けられたことが他に無いので、よく頑張ったと思います(笑)。昨年、10周年を迎えたのを機に、改めて振り返る機会がいろいろあったのですが、今になってみるとこの3人のバランスでなければ続けられなかった気がします。結成した時に「10年は続けよう」と決めて、「それくらい続けないと、自分達のスタイルは見つけられないかもしれない」と話をしていたので、粘り強く続けて良かったですね。「こういう音楽を作っていこう」というより、「3人でどんなことができるのか」というのが始まりでした。
kubota:気がついたら10年経っていた感じで、あっという間に過ぎたのですが、振り返ると確かにいろんなことをやったなと思います。その時々で、目の前にあることを一生懸命こなすだけで精一杯でしたが、10年やってきたなりの蓄積された経験やノウハウもたくさん得ることができました。
towada:家族よりも長い時間を過ごしているので、ファミリー感も強くなってきていますね(笑)。
chihiRo:それは私も感じます(笑)。もし今日言い合いになっても、明日また会えるしという安心感はあります。

>10年という歳月を経て、バンドや個人での変化はありますか?
chihiRo:実はデビューした頃は、大人になると保守的になっていくのかなと想像していたのですが、逆にだんだん失うものが無くなって、チャレンジすることに抵抗が無くなってきました。自分でも意外でしたが、とりあえずやってみて、なんとかできたの繰り返しでここまでやってこられたので、怖い気持ちはあまり無くなりました。いろんなことに挑戦しても変わらず応援してくれる方々がたくさんいてくれるのは、私達にとってすごく心強いです。

>楽曲のイメージに、実年齢が追いついてきたのでしょうか?
chihiRo:どうなんでしょうね。当時はやっぱりスタイリッシュで、アーティスティックだと思われるようなことがやりたくて、取材とか音楽以外の部分でも、個性的に思われなきゃみたいな意識があったのですが(笑)、そういう余計な力の入り方が無くなってきたかもしれません。キャラクターを演じたとしても、結局自分の中にあるものしか出せないというのが、この10年でわかったことですね。
towada:始めの頃は、俺達はこれ、これはいいけど、これは嫌だとか、すごく狭い中で、さらに小さく区分けしていたのですが、活動を続けていく中で、一生懸命伝えようとしてる姿だったり、自分達のこだわりとは別の側面をお客さんが見ていることに気がついたんです。それが上手くいっている、いないは関係なく、思い切りエネルギッシュに物を作ったり、演奏しないといけないと考えるようになりました。
kubota:デビューした当初は僕自身、ガチガチに曲を作っていたことがあって、すごく難しい方とシンプルな方、ふたつの選択肢があると、迷わず難しい方を選んでいたところがありました。でも、それはchihiRoが話したように、ちょっとでもエッジを立たせたいという意欲の表れでだったのですが、ここ数年は良い意味でゆとりを持たせるというか、ひとりで全てをやろうとせず、あとはふたりが面白くしてくれるだろうくらいに構えて曲を作った方が良いと思えるようになりました。そう思えたら、曲を作っていてもすごく楽しいです。やっぱり3人でどういう音を作っていくかは、今でも変わらず興味があります。



5thアルバム『ジルデコ5』
WPCL-11445 | ¥2,940-(tax in)
30代女子であるボーカルchihiRoが、自身の経験や同世代の仲間のリアルなストーリーをもとに、30代女子のリアルを“セキララ”に、“同世代への応援ソング”や、 “30代女子の葛藤やリアルな本音” をつづった作品。ジルデコ新章突入のファンファーレを高らかに鳴らす曲たちが凝縮。



【JiLL-Decoy association】
2002年結成。メンバーはchihiRo(Vo)、kubota(G)、towada(Dr)。3人が生み出すJAZZ / FUNK / R&Bをベースにしたオリジナリティ溢れる楽曲と、高い演奏力によりジャム・セッションのように毎回進化していくライブ・パフォーマンスが魅力。結成10周年であった2012年は、記念アルバムを3作リリースしたほか、ライブ活動も精力的に展開。2013年9月、5thアルバム 『ジルデコ5』をリリース。
オフィシャルサイト: http://www.jilldecoy.com



text:Pilot Publishing / photograph:Syouta Tanaka
August,2013




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