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Guest 北海道を訪れた今を輝くゲストのスペシャルインタビュー


ミュージシャン【チリヌルヲワカ】


約1年振りとなる4thアルバム『アナログ』を引っさげ、札幌で2度目のライブにして、初ワンマンを成功させたロックバンド〈チリヌルヲワカ〉。メンバーチェンジや活動休止を経て、近年はリリースと共にライブ活動を精力的に展開し、その確かな実力とキャリアをまざまざと見せつける彼らの、音楽に対する純粋な衝動と、すべてを捧ぐ本気が心にずしりと突き刺さる。今、バンドとしての原点に再び立つ。




インタビュー(December,2013)
ユウ / 〈チリヌルヲワカ〉
イワイ エイキチ / 〈チリヌルヲワカ〉



>札幌でのライブは久しぶりでしたが、いかがでしたか?

ユウ:札幌でのライブ自体が実質2回目で、前回は〈ねごと〉のイベントで来たのが初めてだったんですけど、今回〈チリヌルヲワカ〉として初のワンマンだったので、お客さんがどのくらい来てくれるのか心配していたんですけど、予想以上に来てもらえて、待っていてくれていたのが伝わってきて嬉しかったです。
イワイ:お客さんも最初は探っている感じがあったんですけど、途中から後ろの方もうわ~!っと前に乗り出して来てくれて。本当に待ってくれていたんだなというのを感じました。

>ユウさんは、サウンドプロデューサー田中一志さんのプロジェクト「Shizuka Kanata」の『Divine Hokkaido』にも参加されたり、〈sleepy.ab〉とも親交があるなど、北海道とは縁があります。
ユウ:田中さんは、私が以前リリースしたソロアルバムにも参加してくれているんですけど、その時は札幌に通って作ったので思い出深いですね。たまたまですけど、昔のスタッフが札幌出身で今も札幌に住んでいたり、自分的にも北海道には愛着があります。

>今年4月にリリースされた4thアルバム『アナログ』は、活発なライブ活動が作品へつながった印象も受けました。
ユウ:それもあると思います。作り方とかレコーディングの仕方はいつもとそれほど変わらなくて、みんなでせーので演奏して、ライブと同じような感じで一発録りでやっているんですけど、やっぱり一緒に積み上げてきたライブの数があるからこそ、ライブ感みたいなものがかなり込められたと思います。

>バンドに対して、それぞれの役割が定まってきた?
ユウ:今のメンバーになってから3枚目で、最初の頃はそれぞれが探り探りで、試行錯誤していた部分もあったんですけど、その辺が大分固まってきた気はします。バンドのイメージが、それぞれ個人個人でやっと見えてきたというのもあって、その分ちょっと余裕も出てきたのかなという変化はあると思います。
イワイ:もっと細かくやらなきゃいけないというよりも、ここは何かやらなくても普通にやっていればいいとか、押し引きがよりスムースになった感じはあります。前までは全員がうわーって行きだしちゃうことも多かったので、誰が出て誰が引っ込んでっていう、その辺のバランスが整ってきた気がします。

>バンドとしての個をとても重要視されているように感じられます。
ユウ:バンドでというのを特に強調して言う必要もないんですけど、この4人でしか出来ないものをやりたい気持ちは強いので、やっぱり意識してしまう部分ですね。みんなのバンドに対する意識をひとつにするという気持ちは常に持っています。

>バラエティ豊かな楽曲が揃っていますが、ひとつの作品としてしっかりまとまっています。
ユウ:コンセプトを決めて作ったことがあまりなくて、いつもできた曲をまとめていくんですけど、私の中で今回の7曲というのは決めていました。私が作詞・作曲をする過程では、わりとぼんやりとアルバムをイメージしていて、そんな言葉にできるほどのコンセプトはないんですけど、なんとなく足りないものは補おうというのは考えています。出来たらなんでもかんでもっていうのはなくて、こういう要素や曲があったらとか、バランスを考えた7曲ではあります。

>リズムの組み合わせや遊び心がいつも楽しいです。
ユウ:リズムはいろいろ遊んでいるかもしれないですね。
イワイ:でも、今までに比べたらすごく少なくなっていて、よりシンプルになっていると思います。とにかく普通のリズムでも、この4人で合わせると普通でなくなってしまうので、その辺をまた新たにして一歩進めた気がします。

>意図的に他と一線を画したいのでしょうか?それとも自然体なのでしょうか?
ユウ:奇をてらうようなことは特別していないです。でも今回、私はわりと悩んでいて、出来た曲がオーソドックスになったかもしれないというのはメンバーともよく話していて、「全然普通じゃないよ」って言われていた記憶があります。
イワイ:確かに、僕も最初はすごくシンプルだから、これは何かやらないと、という意識はあったんですけど、曲を固めていく中で、基本的なリズムは変わっていないのに、結局は変わったものになったんですよね。だったら、これはこれだって。悪い言い方をすれば、絶妙なタイミングでずれていて、ずれたままキープしていてもいけるんですよね。テンポが変わっても、3拍子から4拍子に変わっても、それがちょっと早いよとか一切何も言わなくても、勝手に積みあがっていくというか。
ユウ:それが、私達なりの独特なグルーブになっている気がしますね。リズムをぴったりキープしていなくても、がちゃがちゃしている感じが、逆に自分では気に入っていたりします。

>『アナログ』というタイトルは最後につけられたのですか?
ユウ:そうですね。なんとなく曲も定まって、レコーディングを終えたくらいで決めたんですけど、今回アナログ録音をしたのもあったり、なんとなく歌詞も全体的に原点に帰る的な、ざっくりそういう共通するようなイメージがあるような気がしたんですよね。「手遊び」という曲がわかりやすいんですけど、「すべてなくなってしまった時に、人と人のふれあいが一番大事」みたいなことを書いているんですけど、まあそんなところから、なんとなく“アナログ”がしっくりきました。

>4枚目にして、改めて原点に立たれた感もあります。
ユウ:私の作るメロディーとか歌詞もそうですけど、基本的にはシンプルじゃないと思うんです。メロディーも濃くて、サビもどこだかわからないみたいに言われがちなんですけど(笑)、それがベースにあるので、演奏はシンプルにしようくらいじゃないと、より複雑になってしまいがちなので、その辺をうまい具合にセーブしようという気持ちはありました。

>逆に振り切ってしまおうとは?
イワイ:もう、ある程度振り切っちゃっいましたからね(笑)。
ユウ:一枚目の曲とかは、何も意識せずにやっていたんですよね。それはそれで良いものになったんですけど、そういう曲ばかりになっていくと複雑なバンドという印象を与えてしまうので、調度良いところを探っている感はあります。メロディーの濃さに対してどれくらい抜き差しすれば良いかとか。やっぱりライブで演奏するのが軸なので、あまり難しくなってしまうのもなというのもあります。

>日本語詞もよく馴染んで、言葉が強く印象に残ります。
ユウ:歌詞は日本語にこだわっていて、基本は日本語で全部書いているんですけど、日本語はバリエーションがすごくたくさんあって、ひとつのことを表現するにもいろんな言葉があるので、できるだけ格好良かったり、きれいな方の言葉をチョイスして作りたいと考えているんですけど、そういうことをやっていると難しすぎて意味がわからないとも言われがちなので(笑)。それで、その辺もいろいろ考えて、伝えたい部分だけ意味が分かるようにしようとか、意識的にシンプルにした結果が今回につながったのかなと思います。

>詩的な世界観や表現も個性的でこだわりが感じられます。
ユウ:歌詞はすごい難しいですし、頭をすごい使って、ずっと考えていて、いつも苦労していて。これでベストだって思うまでにものすごく時間を費やしているんですよね。もともと文章を書くのが苦手なんですよ。でも、歌詞だと全然意味がわからなくても、支離滅裂な歌詞を書いても許されるところもあるし、自由度はすごく高いので、文章を書くよりはまだ頑張れます。歌詞では言えるけど、実際は言えないこともあるので、普段言えないようなことを歌詞で書いています。

>メンバーに対しても控えめなんですか?
ユウ:わりとオブラートに包むタイプですね。
イワイ:でも、最初に比べると、大分言うようにはなったよね。リハーサルとかやっている最中とかでも、ここはこうしたいので、こういうイメージでって。
ユウ:前はもっとぶっきらぼうだったかもしれないですけど、少しはうまく伝えられるようにはなったかもしれないです。大人になりました(笑)。

>ずいぶん時間かかりましたね(笑)。バンドとして目指されている目標はありますか?
ユウ:いつも応援してくれるファンの方や、毎回ライブに来てくれる方とかが今、私の中でモチベーションになっていて、私達を必要にしてくれている人がいるというのが本当に嬉しいし、ライブに足を運んでもらえるありがたみを今までで一番感じているので、ひとりでも多くの人の中での生活の楽しみや癒しになってもらえると嬉しいです。



4thアルバム『アナログ』
YAMA-0003 / ¥2,000-(tax in)



〈チリヌルヲワカ〉
メンバーは、ユウ(G&Vo)、イワイエイキチ(B)、坂本夏樹(G)、阿部耕作(Dr)。2005年、結成。2005年9月、1stアルバム『イロハ』をリリース。2006年、活動休止中に結成時のメンバー・宮下治人(G)が脱退。2010年1月、新メンバーとして坂本夏樹(G)が加入。2010年9月、新生〈チリヌルヲワカ〉始動。2013年9月、4thアルバム『アナログ』をリリース。
オフィシャルサイト:http://chirinuruwowaka.com



text:Pilot Publishing / photograph:Hideki Akita(TOOTOOTOO studio)
December,2013




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